講演者:深川奈桜 (国際基督教大学)
タイトル:矮小銀河の化学進化と形態の関係
アブストラクト:局所銀河群の矮小銀河は、主に矮小楕円体銀河と矮小不規則銀河に分類される。双方の形態の性質を持つ銀河も存在し、形態により進化過程が異なるかどうかが議論されてきた(eg, Grebel et al., 2003)。しかし、矮小銀河の進化過程は未だ明らかではない。例えば、矮小銀河には質量ー金属量関係が見られる。その解釈として、星間ガスと重元素のアウトフローや星形成効率が銀河質量により異なることが挙げられる(Kirby et al., 2013)。銀河内で星により生成される重元素量は星形成率により変化しうるため、金属量分布だけでなく、元素組成比についての検討も重要である。そこで、本研究では、孤立系、星間ガスの降着/流出がある系についての3種類の化学進化モデルを構築し、矮小銀河の進化過程について調べた。これらのモデルにおいて銀河の進化過程を決める物理量は、星間ガスの降着あるいは流出率、星形成率、初期質量関数であり、局所銀河群の矮小銀河について、観測による金属量分布、元素組成比、星間ガスの質量比を再現できるような物理量の範囲を形態ごとに調べた。矮小銀河の形態とモデルパラメータについて議論する。
発表スライド:(PDF)