講演者:桐原崇亘
タイトル:Puzzling Outer-Density Profile of the Dark Matter Halo in the Andromeda Galaxy
アブストラクト:標準的な階層的構造形成論に基づいた宇宙論的な構造形成のシミュレーションによると、銀河や銀河団に付随するダークマターハローはユニバーサルな密度構造をもつと予言されている。その密度分布は、内側のべき構造については活発な議論がなされているが、外縁部については中心からの距離の-3乗で密度が変化することでほぼ一致している。一方で、観測的にハロー外縁部の密度構造を探ることはその密度の低さから困難であり、その検証作業はほとんどなされていない。近年の高精度な観測により、近傍の巨大銀河であるアンドロメダ銀河(M31)のハロー領域には複数の矮小銀河衝突の痕跡が発見された。特に、アンドロメダストリームと呼ばれるM31中心から帯状に伸びる星の構造は、100kpcを超えるような巨大な構造であり、その空間構造・速度構造が観測されている。また、理論面からもN体シミュレーションによって、衝突した矮小銀河の質量や軌道が調べられてきた。本研究では、M31のダークマターハローの外縁部密度のべきをパラメータにして、アンドロメダストリームと東西に広がる貝殻状の星分布を再現するという条件からM31のダークマターハローの外縁部密度構造についての予言の検証を行った。その結果は、標準理論で示唆されるよりも、遠方で急に密度が小さくなることを示している。
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