講演者:小倉和幸 (愛媛大学)
タイトル:輻射圧駆動風の見かけの光球・熱化面とスペクトル
アブストラクト:銀河進化に影響を及ぼす現象に銀河風や活動銀河ジェットそして降着円盤風などがある。ジェットや銀河風など、天体風のガスの流れについて調べる際にはその見かけの光球について注意深く調べる必要がある。天体風はたとえそのものが球対称であっても見かけの光球は周縁減光効果により球対称には観測されない。この場合、光球面の温度分布は一様でないため、観測されるスペクトルは様々な温度の黒体放射の重ね合わせになる。一方、ガスが高温の場合は電子散乱の効果が無視できなくなる。この場合には光子が黒体放射によって生まれる熱化面が重要となる。観測されるスペクトルは、熱化面の温度分布に依存する。我々は、ブラックホール風や新星風などの輻射圧駆動風を想定して、見かけの光球と熱化面の形状、そして観測されるスペクトルを計算した。今回はブラックホール風の場合の計算結果を紹介するが、本研究の結果は天体風の理解の基礎として重要である。