講演者:利川潤 (総合研究大学院大学)
タイトル:広視野観測を用いた原始銀河団探査
アブストラクト:近傍宇宙における銀河団銀河とフィールド銀河の比較などから、銀河は環境からも大きな影響を受けて進化してきたと考えられている。そして遠方宇宙における原始銀河団を直接観測することにより、環境による銀河の性質の違いがいつ、どのように表れるのかを知ることは、銀河進化の理解には不可欠である。Subaru Deep Fieldにおいて発見された赤方偏移6の原始銀河団(Toshikawa et al. 2012)に対して、さらなる分光追観測を行なった。UV, Lya光度などを調べた結果、原始銀河団銀河とフィールド銀河に間に有意な違いは見られなかった。しかし原始銀河団銀河はペアを作るような特徴的な内部構造を持っており、それらが緩く集まっているような構造をしていることが分かった。これらの結果から、この原始銀河団では銀河の集団化が赤方偏移6においてまさに始まろうとし、銀河の性質の違いが表れる前の段階を見ていると考えられる。銀河団形成や銀河進化を理解するためには、さらに原始銀河団の発見数を増やす必要がある。そのためCFHT Legacy Survey Deep Fieldsにおいても原始銀河団探査を行なっている。また現在進められているHSC surveyによる原始銀河団探査についても議論する。
発表スライド:(PDF)