講演者:斎藤智樹 (東京大学 ICRR)
タイトル:The environments of Lya blobs: Wide-field Lya imaging of TNJ1338-1942, a powerful radio galaxy at z=4.1 associated with a giant Lya nebula
アブストラクト:すばる・Suprime-Cam を用いて巨大 Lya 輝線ガス雲 (Lya blob, LAB) 周辺環境の系統的な観測を行った。z~2-4 における 100 kpc 以上広がった LAB の周辺領域を、狭帯域/中間帯域フィルターを用いて撮像し、Lya 輝線天体 (LAE) をプローブとして銀河環境 (密度) を定量化した。そのうち z=4.1 電波銀河に付随する LAB の結果を紹介する。本研究では定量的な比較のため、同条件で一般天域 (SXDS) を観測し、また準解析的モデルを用いて大規模な N 体計算 (Millennium Simulation) との比較を行った。その結果、この天体は平均の4倍以上の高密度領域 (数 Mpc スケール) に存在し、かつ顕著なボイド領域に接していることが分かった。この密度はシミュレーション体積中の上位 0.1% 以下に相当し、数密度は既知の z>2 電波銀河と同程度である。またこの高密度環境では Lya 光度関数が高光度側にバイアスしており、銀河形成のモードが変わっている領域であることが示唆された。こうした環境は理論計算では再現できず、AGN などといった特殊な天体種族の存在が影響していると考えられる。
発表スライド:(PDF)