アブストラクト:
矮小銀河の測光・分光観測によって、星の色等級図や元素組成、金属量分布が得られるようになってきている。そこで色等級図と元素組成を同時に説明することを目的として、色等級図から導かれた星生成史に従って化学進化を計算し、矮小銀河の金属量分布と比較するモデルを作成した。このモデルを用いて、星生成史と金属量分布が得られている矮小不規則銀河(dIrr)のうちIC 1613、NGC 6822、Pegasus、の3天体について解析を行った。その結果、IC 1613において星生成史と金属量分布を同時に説明する化学進化が見つかった。また本研究の結果を、我々が過去に行った矮小楕円体銀河(dSph)における結果と比較したところ、dIrrとdSphのいずれも大量の重元素(合成したうちの80%以上)が流出していることが分かった。本講演では我々のモデル解析により明らかになったdIrrの化学進化について報告し、矮小銀河において重元素の流出がどのように起きているか議論する。