アブストラクト:
Cold dark matter (CDM)モデルは大規模構造の統計的な性質を説明することに成功したために、現在の標準的な構造形成理論である。一方、銀河スケールの構造においていくつかの問題が存在する。その問題の中で、本研究ではcusp-core問題(CDMモデルではDark matter halo(DMH)の中心質量密度が発散するcusp構造を予言するのに対して中心質量密度が一定となるcore構造が多数観測されている)とtoo-big-to-fail問題(CDMモデルで予言される、中心質量密度が高いDMHが天の川銀河の衛星銀河が見つからない)を取り上げた。本研究ではこの二つの問題を、DMHとバリオンの力学的相互作用に起因した問題として捉えて解析を行った。その結果、活発な星形成活動が発生する以前の原始銀河のDMHはcusp構造を持っているが、銀河形成期に発生する周期的な超新星爆発フィードバックによってcore構造へと遷移する、cusp-core遷移過程が重要な役割を果たすことを見出した。本発表では、cusp-core遷移過程の発生によってtoo-big-to-fail問題が解決する可能性について議論する。