アブストラクト:
すばるディープフィールド(SDF)に存在するz~1.5の[OII]輝線銀河に対し、すばる望遠鏡のFMOSを用いて近赤外線分光観測を行った。そして、118個の星形成銀河の分光同定に成功した。本講演では、これらの銀河の静止系可視領域に見られる6個の輝線([OII], Hbeta, [OIII], Halpha, [NII],[SII])を用いて、z~1.5の星形成銀河の星間ガスの物理状態を議論する。z~1.5の星形成銀河の[OIII]/[OII]は近傍の星形成銀河と比べて大きく([OIII]/[OII]>1)、小質量銀河ほど[OIII]/[OII]が大きくなることを明らかにした。この結果は、z~1.5でも星形成銀河のイオン化パラメーターは近傍に比べて大きいことを示唆する。[SII]輝線から見積もった電子密度は近傍銀河と同等であることから、イオン化パラメーターが高く質量依存性がある原因として、若い星種族によるハードな輻射場や大質量星からの電離光子の増加が考えられる。また、z~1.5の星形成銀河のHalphaと[OII]には正の相関関係があり、[OII]輝線の光度はz~1.5でも星形成率の推定に有効であることを確認した。