アブストラクト:
80億年以上前の宇宙では、現在の宇宙では見られない巨大なクランプ(塊状の星の集団)を持つ銀河(クランピー銀河)が多数存在することが知られている。これらのクランピー銀河は現在の宇宙で見られる銀河の祖先と考えられているが、クランピー銀河がどのように現在の銀河に進化したのかはよく分かっていない。 我々は、Murata et al. (2014, ApJ, 786, 15)において、宇宙年齢後半のクランピー銀河の系統的な探査を行うことで、クランピー銀河の割合について調べた。その結果、80億年前から30億年前までの間に、クランピー銀河の割合はおよそ35%から5%にまで減少していること、また、これは銀河の星質量には依存しないことが分かった。さらに、調べた時代や銀河の星質量の範囲では、銀河の星形成率および比星形成率が大きいほどクランピー銀河の割合は大きくなることが分かった。特に、同じ時代の銀河では、比星形成率とクランピー銀河の割合との相関関係は銀河の質量に依らないことがわかった。 本研究では、これらのサンプルをもとに、Scoville et al. (2013, ApJS, 206, 3)の銀河環境の指標を用いることで、クランピー銀河の割合の環境依存性について調べたので報告する。