アブストラクト:
z~2-3の時代は銀河形成最盛期と言われているが、何故その時代に最盛期を迎えたのかを理解するためにはさらに時代を遡ることが必要であり、その点でz>3という時代は重要な時代であると言える。本研究では、すばる望遠鏡の挟帯域フィルターを用いた撮像観測によって、一般フィールドであるSXDFにおいてz=3.2, 3.6の[OIII]輝線銀河のサンプルを構築した。そしてそれらの星質量、星形成率、サイズを調べ、各物理量間の関係について同じフィールドのz=2.2, 2.5のHα輝線銀河との比較を行った。その結果、同じ星質量に対して二つのサンプルは同じような星形成率およびサイズを示すが、星質量の分布を見てみると[OIII]輝線銀河はより低質量側に偏っていることが分かった。これをz=3.2, 3.6からz=2.2, 2.5にかけての進化によるものだと仮定した場合、この時代の間(約1Gyr)に銀河の星質量と星形成率は大きく増加し、銀河の成長が加速度的に進んでいるということが示唆された。本講演では一連の結果を紹介するとともに、二つのサンプルの質量分布の差が意味することについても議論を行う。