アブストラクト:
星形成銀河の物理的性質を評価するパラメーターの一つに静止系紫外線波長域のスぺクトルスロープβと呼ばれるものがある。βとは銀河の紫外線波長域における単位波長あたりのフラックスを指数関数で近似した際の指数を指す。一般にβは銀河のダスト減光量、年齢、金属量を反映し、負に大きい(=青い)銀河ほどダスト減光が少ない、若い、 金属量の低い性質を持つと考えられている。よってβの値が負に大きい青い銀河とはその年代では比較的に進化の遅い系であり、宇宙初期に近い状態を残した系であるとも考えられる。したがって星形成銀河の中でもβの値で銀河の進化段階を分類できるはずである。本研究ではSXDS領域の比較的明るいMuv,ab〜-21)赤方偏移4の星形成銀河について解析を行い、βと紫外線絶対光度やβごとの空間相関を調べた。解析の結果、βと紫外線光度には明確な相関は現れなかった。しかし紫外線絶対光度に関してダスト減光の分を補正すると相関が顕著に現れた。これは星形成銀河の星形成率と星質量の間に現れるmain-sequence(MS)の様な関係を表していると考えられる。またβごとの空間相関を見ると大きいスケール(30 arcsec以上)では相関に有意な違いが見られず、小さいスケール(30 arcsec以下)では赤い銀河ほど相関が強くなる傾向が得られた。これは低赤方偏移のpassive銀河とMS銀河に見られる空間相関の違いと傾向が一致している。