アブストラクト:
"宇宙の星形成率密度はz~1から現在まで約1/10程度に減少していることが知られて
いるが、この間に個々の銀河がどのような星形成史を歩んだのか、特に1Gyrよりも
短い時間スケールでの星形成率の振舞については必ずしも明らかにされていない。
そこで、本研究ではCOSMOSサーベイで得られた12枚の中帯域フィルターの測光
データを用い、比較的短い時間スケールで発生するバースト的な星形成を起こして
いる銀河の進化に着目した。
近傍銀河においては、U-B vs. B-V の2色図において、バースト的な星形成を
起こしている銀河や急に星形成が止まった銀河は、時間に対してなめらかな
(連続的な)星形成史を持つ銀河とは異なる分布を示す(Larson & Tinsley 1978)。
この手法を0.2<z<1.0の銀河に適用するために、静止系で3400A、4200A、5400Aの
等級を中帯域データの補間から求めて、2色図上での分布を調べた。カラーに用いる
波長は、[OII]などの強い輝線やphoto-z誤差のカラーへの影響が小さくなるように
選択している。2色図上での連続的な星形成史のモデルからのばらつきを測定した
ところ、測光誤差の影響を考慮に入れても、カラーの分散はredshiftとともに有意に
増加することがわかった。また、2色図上で、バースト的な星形成を起こしている銀河と
星形成が急に止まった銀河をそれぞれ選択し、その割合を調べたところ、両方の種族
でredshiftとともに割合が高くなっていくことがわかった。これらの結果は昔の時代
ほどバースト的な星形成が頻繁に起きていたことを示唆する。発表では、分光データの情報も用いてこれらのバースト的な星形成を起こしている銀河の性質についても紹介する。"