アブストラクト:
"太陽近傍の星々の観測から星の年齢と速度分散の間には正の相関がみられる(年齢速度分散関係)。この関係は星が巨大分子雲、渦状腕などの構造により重力的散乱を受けた効果だと考えられている。理論的研究からはこれらの重力散乱の効果に加えmergerや相互作用の外的要因の効果などが調べられているが、年齢速度分散関係の起源については未だに多くの議論がなされている。
我々は天の川銀河を想定した高分解能なN体/SPHシミュレーションを行った。その結果、年齢速度分散関係が単純な星の速度分散の時間進化を示すのではないことを発見した。ガスの状態は時々刻々と変化しそれに伴い巨大分子雲による重力散乱の強さも時間進化する。この効果により巨大分子雲の弱い重力散乱だけでも観測される年齢速度分散関係を十分再現可能であることを示す。"