アブストラクト:
銀河の形成・進化を理解する上で、初期質量関数(IMF)を明らかにすることは極めて重要である。銀河系近傍の星形成銀河では、ほぼSalpeter IMFであると考えられていることが多いが、星形成が激しかった時代(z=1~3)の銀河でもIMFが同じであるかは分かっていない。本研究では、FMOSで得られたz~1.4付近 の星形成銀河の近赤外分光データ(280天体)を用いて、Hαの等価幅(EW)と銀河の色(J-H)の分布を調べ、これをpopulation synthesis model(PEGASE2)と比較することでIMFを調べた。その結果、smoothな星形成史の仮定の下、Salpeter IMF(slope =1.35)では観測された分布を再現することができなかった。しかしながら、Salpeter IMFよりflatなtop-heavy IMF(slope ~ 1.00)を仮定するとこの分布は再現できることがわかった。

上記の講演で、激動進化期にあるz~1.4の星形成銀河では IMFの傾きはflatなのではないかという可能性を示した。 しかし、Salpeter IMFのままであってもスターバーストが起こっていると考える と観測データを説明できる可能性もある。 そこで色々なバーストがsmoothな星形成にのっているモデルを作って 観測データと比較したところ、バーストモデルでも観測される分布を再現できる ことがわかった。 講演ではバーストモデルとflat IMFのどちらが正しいか区別する方法に ついても考察する。