アブストラクト:
近傍の主系列銀河のうち、星形成の「新たなバースト」を起こしている銀河があることが SDSS と「あかり」に よって分かった。主系列銀河とは、銀河の星形成率–星質量関係の上に乗る銀河で、宇宙の星形成の大部分を担う と考えられている銀河である。この相関は赤方偏移によって異なり、遠方ほど星質量に対して星形成率が高いこ とが知られている。このことは、主系列銀河の星形成率は時間と共に減少していくことを示唆する。一方、星形成の「新たなバースト」とは、減少してきた星形成率が再び増加する現象である。銀河が「新たなバースト」を 起こしているかどうかは、可視スペクトルの指標、Dn(4000) と HδA から判別できる。これらの指標は、OB 型 星と A 型星の寿命の違いを利用し、星形成史を制限するものである。本研究ではSDSS(DR12) の HII と分類さ れた銀河について、Dn(4000) と HδA を BC03 のモデルと比較することで、「新たなバースト」を起こしている かどうかを判別した。「新たなバースト」を起こしている銀河について、赤外線およびバルマー輝線から求めた 星形成率と星質量の関係を調べたところ、そのほとんどが主系列の関係に乗っていることが示された。この結果 は、主系列銀河の星形成率は必ずしも時間と共に減少し続けるわけではないことを意味する。