アブストラクト:
巨大ブラックホールの進化を解明するためには、宇宙の各時代における巨大ブラックホールの質量ごとの個数密度進化を調査することが重要である。この調査を行うには、クェーサーの光度ごとの個数密度進化を調べることが有用である。クェーサーの光度と巨大ブラックホールの質量には相関があるため、クェーサーの個数密度進化から巨大ブラックホールの個数密度進化を理解することが可能である。先行研究により、幅広い光度と赤方偏移でクェーサーの個数密度が調査されてきたが、過去の可視サーベイでは観測が困難である高赤方偏移の低光度クェーサーの個数密度は明らかになっていない。そこで本研究では、これまでにない視野と感度を持つすばる望遠鏡のHyper Suprime-CamによるSSPで所得された大規模撮像データ(S15B wide)を用いて、z~5の低光度クェーサー探査を行った。その結果、-26.5<M_1450<-22.5のz~5低光度クェーサー候補天体を541天体発見することに成功し、得られた候補天体を基にz~5クェーサー光度関数の導出を行った。本講演では、クェーサー候補天体の選出方法や、導出した光度関数について報告を行う。