アブストラクト:
"我々は星やガス、ダストが集まった渦巻き銀河の円盤部に住んでいる。そのため天文衛星が全天を観測すると必ず銀河系内のダストによる放射が前景放射として重なり、銀河系のダストの熱的放射のデータはさまざまな観測衛星から得ることができる。本研究はPlanck・AKARI・IRASの3つの観測衛星のデータを用いてダストの熱的放射のスペクトル(SED)を描き、そのSEDをより正確に再現するモデルを構築することを最終目標としている。 ダストの熱的放射のスペクトルは Iν∝ν^β Bν (T) (βは定数、Bν (T)は黒体放射の放射強度)で表されるmodified blackbodyと呼ばれる近似が主流である。ダストの熱的放射の近似としてmodified blackbodyが本当に「良い」モデルなのかを判定するためにmodified blackbodyのようにIν∝ν^β Bν (T)のβが定数であるモデル(β=β0)と、βにνの依存性が入ったモデル(β=β1+β2logν)を比較し、どちらのモデルがダストの熱的放射を表すのに「良い」かを求めた(β0,β1,β2 は定数)。 今回は赤外線天文衛星 AKARIの90μmの放射強度で全天を分類してそれぞれの分類でSEDを描き、その全てについてSEDフィッティングを行った。その結果βにνの依存性が入ったモデルの方が「良い」モデルであるという示唆が得られた。"