アブストラクト:
星形成へのフィードバックは銀河の形成進化を解き明かす鍵となる現象である。フィードバック現象を生む銀河のアウトフローガスは原子雲が質量の大部分を占めると考えられているが、これは銀河のスペクトルに現れる青方偏移した金属吸収線により観測することができる。本研究では赤方偏移z~0のSloan Digital Sky Survey (SDSS) DR7と赤方偏移z~1のDEEP2 redshift surveyで得られた星形成銀河のスペクトルを用いて超新星駆動アウトフローを調べた。まず、主系列上(星質量は10^9 Msunから10^11 Msunまで)で同じ場所に位置するSDSS銀河を約2000個、DEEP2銀河を約1500個選び、星質量ごとにスタックした。次に金属吸収線(それぞれNaID λλ5890,5896とMgII λλ2796,2803)をsystemicな成分とアウトフロー成分の2種類に分け、アウトフロー成分の速度を求めた。その結果、SDSS銀河(z~0)の典型的なアウトフロー速度は100 km/sから150 km/s、DEEP2銀河(z~1)は150 km/sから200 km/sでアウトフロー速度に差が見られた。本講演ではこの結果を基にアウトフローの赤方偏移進化とその起源について議論する。