アブストラクト:
"活動銀河核 (AGN) の狭輝線領域 (NLR) の電離メカニズムは、中心核からの電離光子による光電離であるとする考えが広く支持されているが、電波ジェットなどによる衝撃波が電離に影響を及ぼしている可能性も指摘されている。しかし一般には光電離と衝撃波による電離を観測的に切り分けることは困難だと考えられてきた。その中で Oliva et al. (2001) が近赤外線に見られる輝線 [Fe II]1.257 µm と [P II]1.188 µm の強度比を用いる方法を提案している。衝撃波によって電離されたガスでは、ダスト破壊により気相における鉄の組成比が増加して [Fe II]/[P II] が大きくなるが (> 20)、一方で光電離されたガスでは小さい (< 2) ことが期待される。ところが、AGN におけるこの輝線強度比はこれまであまり調査されておらず、サンプル数が少ないために統計的な 議論が進んでいない。本講演では岡山天体物理観測所の近赤外線分光装置 ISLE を用いて AGN の一種族であるセイファート銀河 (26 天体) を分光観測し、得られた近赤外線スペクトルの解析を行った結果について報告する。"