アブストラクト:
"最新の銀河系内大規模赤外分光サーベイであるApache Point Observatory Galactic Evolution Experiment (APOGEE)によってこれまでとは比べ物にならないほどの大量の星について正確な視線速度、アバンダンスの情報がもたらされた。本研究ではこのAPOGEEサンプルの中でもとりわけ位置決定精度の高いred clump (RC) starを用い、銀河系円盤の化学動力学進化を調査する。 我々はまずAPOGEE-RC星の[Fe/H], [O/Fe]の値と化学進化モデルを比較することによってサンプル星ひとつひとつに年齢と形成した半径(R_birth)を割り当てた。これらの情報をもとに、現在観測される半径(R_obs)とR_birthの関係や視線速度分布の解析から導いた速度分散プロファイルといった力学的性質を年齢の関数として調べた。その結果、おおよそ年齢が8Gyrを境に古い星と若い星で大きく性質が変化することがわかった。本発表ではこれらの解析結果とそこから予想される銀河系円盤の化学動力学進化の概要について紹介する。"