アブストラクト:
本研究では,ALMA を使った波長 1.1 mm の連続波探査 (SXDF-UDS-CANDELS 領域; PI. K. Kohno; see Tadaki et al. 2015, Hatsukade et al. 2016) によって分解された,暗いサブミリ波銀河 (S_1.1mm < 1 mJy) の多波長解析を行なった結果を報告する.宇宙全体の星形成活動を理解するためには,赤外線背景放射の大部分を占めるとされる,暗いサブミリ波銀河の性質を知ることが必要である.本探査では ALMA による高分解能観測によって,S_1.1mm >~ 0.5 mJy の天体を 5 つ検出した.単一鏡望遠鏡で既に観測されている明るいサブミリ波銀河 2天体を除いた,3天体の赤外線背景放射への寄与は,~ 4.1 Jy/deg^2 であり,従来の明るいサブミリ波銀河の寄与と同程度である.多波長 SED 解析は 5 天体中 4 天体が星形成銀河のメインシークエンスに属していることを示唆している.残る 1 天体は可視光/近赤外線で非常に暗く,深い電波画像 (JVLA / 6 GHz) と組み合わせることで,z ~ 2-3 のスターバースト銀河である可能性があることが分かった.これは ALMA によって単一鏡のコンフュージョン限界以下かつ可視光/近赤外線の深探査では検出できない星形成銀河種族が分解できたことを示している.