アブストラクト:
"Lyα輝線銀河(LAE)は宇宙再電離において重要な役割を担ったと考えられているが、LAEのもつ電離的性質はこれまでほとんどわかっていなかった。本研究(Kojima et al. 2017)では、電離的性質を探る鍵となる電離パラメータと金属量を測定し、LAEの電離的性質を調査した。従来の測定手法は、電離パラメータと金属量の測定値の系統的不定性が問題となっていたため、決定的な結論が得られていなかった。そこで我々は、それらの不定性を含まない「直接温度法」と呼ばれる測定手法に着目し、これをz~2のLAEに初めて適用した。 その結果、星質量log(M*/M_sun)~9.5、Lyα輝線等価幅EW_0(Lyα)=30-160Aの典型的な5個のLAEに対して、電子温度Te=13,000-14,000 K、金属量12+log(O/H)=8.05-8.14、電離パラメータq_ion=10^(8.1-8.2) cm/s を得た。これらを、同程度の星質量・星形成率・金属量をもつ30個のライマンブレーク銀河(LBG)のものと比較したところ、LAEの電離パラメータはLBGの電離パラメータよりも有意に高いことがわかった。直接温度法に基づく本結果は、LAEとLBGの電離状態が本質的に異なっていることを決定づけている。"