アブストラクト:
棒渦巻銀河の棒部では顕著なダークレーンが見えているにも関わらず、腕部とは対照的にHII 領域がなく、重い星の形成が抑制されている環境である。その原因は長年の謎である。最近のシミュレーションにより、棒部では腕部に比べて分子雲が高速で衝突しており、それが原因で棒部では星形成が抑制されている可能性がでてきた。このシナリオを観測的に検証するため、典型的な棒渦巻銀河NGC1300の CO 観測を野辺山 45m で2年にわたって行なった。解析の結果、CO輝線の速度幅は、棒部での方が有意に大きかった。ビーム 内での速度場が反映されている可能性もあるが、この結果は棒部での分子ガス雲の相対速度が大きい可能性を示唆していると考えられる。もしそうだとしたら、high-zでの星形成にも一石投じる可能性がある。講演では、同時に観測したNGC5383の結果も紹介する。