アブストラクト:
早期型銀河の力学状態, すなわち回転が卓越しているか速度分散が卓越しているかは, 質量獲得史を理解する手がかりとなる. 我々は, 力学状態が確立された時代を調べるため, 早期型銀河の力学状態と関係がある等面輝度線の歪み(a4パラメータ)を用いて, z~1と0の間の早期型銀河の力学状態を比較した. 我々の先行の研究では銀河団環境においては, z < 1ではboxy銀河とdisky銀河の個数比に進化が見られなかったが, 本研究では, 3D-HSTの公開データを用いz~1のフィールド早期型銀河サンプル923個についてa4パラメータを測定した. 結果, 本サンプルには, 銀河団環境でboxy銀河が卓越するM*>10^11.5M⊙には銀河はほとんど存在せず, 大質量銀河の力学状態への環境効果は今後も課題として残った. 一方, M* < 10^11.5M⊙の銀河については, z~1のフィールドと銀河団でdisky 銀河の割合はほぼ同じであり, 有意な環境効果は観測されなかっ た. 本講演では, z < 1における早期型銀河の数密度の進化とともにdisky銀河の割合の進化の進化などについて議論する.