アブストラクト:
銀河中心に遍在する超大質量ブラックホール(SMBH)が,量子凝縮したダークマター(典型的にはアクシオン)であるとするシナリオを詳述する.これによると,凝縮体は赤方偏移10程度の宇宙初期に自然に重力崩壊し一気にSMBHを形成する.非相対論的な仮定のもと,凝縮体の運動を記述するグロスピタエフスキー方程式をガウス近似した場で解く.ボソン自己相互作用や重力によって潰れる効果と,角運動量でそれを阻害する効果のつり合いで決まっていくSMBHの質量関数が求められた.この力学過程で,非等方な凝縮体の減衰振動により,複数のシェルが形成され,バリオンにも同心円的構造が誘起される可能性についてもお話しする.