Abstract:
近年、すばる望遠鏡の Hyper Supreme-Cam を用いた撮像観測で、多くの原始銀河団候補が見つかってきている。 2020 年頃からすばる超広視野分光器 Prime Focus Spectrograph (PFS) による分光観測が始まる予定である。PFSにより原始銀河団の重元素組成比が解明されると期待される。そこで本研究では、原始銀河団内ガスの重元素組成比の時間進化をシミュレーションで調べた。今回、超新星爆発などによるメタル放出過程を実装した宇宙論的流体シミュレーションコード GADGET3-Osaka により、原始銀河団形成の計算を zoom-in 手法を用いて行った。化学進化モデルCELib を用いてコアコラプス型超新星爆発・Ia型超新星爆発・AGB星によるメタル汚染を計算し、原始銀河団の O / Fe の赤方偏移進化を調べた。また、ガス速度を考慮した金属量分布から、メタルの輝線・吸収線ではFinger-of-Godの効果が見られることが示唆された。今後は、メタルの輻射輸送を計算して観測量を予測する。