素粒⼦実験や宇宙観測など, 宇宙への根源的な疑問に答えるために⾼い科学⽬標を掲げて実施される研究は, 感度と分解能のたゆまぬ追求の結果として, 極限性能を持つ先端的検出器の研究開発を牽引してきました。そして, 物質の究極の姿を探るための素粒⼦・原⼦核実験においては, ⼈類の持つ技術の粋を尽くし, 最先端の技術を用いた⾼度な加速器研究が極めて重要な位置を占めます。本領域は, 宇宙観測を⽬的に開発された革新的な先端検出器を, 超⾼強度負ミュオンビームを中⼼に, ⾼エネルギー光⼦, 偏極を付加したRIビームという, ⽇本が国際的に極めて優位な位置にある, 3つの「エキゾチック」な量⼦ビームの研究を結びつけ, 新たな視点や手法による研究を共同で⾏うことを⽬指して発⾜しました。
本領域は, ⼀⾒, 異なる舞台の上で研究を⾏う研究者グループが, ⾼度な知⾒を持ち寄り, 共同でそれぞれの実験を行うことで, 革新をもたらす検出器を有機的に連携し, さらに共通となる物理原理の相互理解をはかる点に特徴があります。これによって, 新たな視点や手法による共同研究を行い, それぞれの基礎物理分野の研究を深化させるばかりではなく, 核医学から非破壊元素分析にいたるまで, 応用研究においても, 全く新しい展開がもたらされると考えています。