2005年度後期講義「位相幾何学II」
目次
開講のお知らせ
10月4日
10月18日
10月25日
11月1日
11月8日
11月15日
11月29日
12月6日
12月13日
12月20日
1月10日
1月24日
10月4日(火)開講
2006年1月24日が最終講
10月11日は, 休講.
11月22日は, 休講.
1月17日は, 休講
授業内容
同変コホモロジ-の局所化定理を用いて, いろいろな例で交点数を計算する。グラスマン多様体やヒルベルト概型の場合に, 対称多項式の組み合わせ論との関連などを述べる。またインスタントンモジュライ空間に適用して, ドナルドソン不変量の計算を行う。
参考文献
- H. Nakajima & K. Yoshioka, Lectures on instanton counting, in Algebraic Structures and Moduli Spaces, CRM Proceedings & Lecture Notes 38, AMS, 2004, 31--101
単位は, レポートにより判定する.
10月4日にやったこと
§1. Introduction
歴史
- 1985年頃 : Donaldson 不変量の導入
- 1989年頃 : Wittenによる, あるゲージ理論の相関関数としての Donaldson 不変量の物理的解釈
- 1994年 : Seiberg-Wittenによる上のゲージ理論(ただし ${\mathbb R}^4$上)の相関関数の決定 (楕円曲線を用いて書く)
- 2002年 : Nekrasovによる, 相関関数の有限次元の積分による表示
- 2003年 : 上の表示が楕円曲線を用いて書けるとSeiberg-Wittenの解の数学的に厳密な証明
§2. Euler類とChern類
- Thom類の定義
- naturality, Whitney和公式
- Euler類の定義
- 横断的な切断の零点のPoincare双対とEuler類が一致
- Chern類の定義
- splitting principle
§3. Bottの公式
$X$を偶数次元の向きづけられたコンパクトな多様体で$S^1$作用を持つものとして,
その固定点集合 $X^{S^1}$は有限集合であるとする. 各固定点 $x\in X^{S^1}$に対して
$T_x X$を$S^1$の表現と見て, そのウェイトを $n_1, \cdots, n_d$とする. このとき
$$e^{S^1}(T_x X) = n_1\cdots n_d$$
とおく.
$E$を$X$上の複素ベクトル束として, 固定点 $x$ のファイバー $E_x$ の$S^1$の表現としてのウェイトを$m_1, \cdots, m_r$とする. このとき
$$c_k^{S^1}(E_x) = e_k(m_1,\cdots,m_r)$$
とおく. ただし $e_k$ は $k$th elementary symmetric polynomialである.
$$\int_X c_{i_1}(E)\cdots c_{i_k}(E) = \sum_{x\in X^{S^1}} \frac{c^{S_1}_{i_1}(E_x)\cdots c^{S^1}_{i_k}(E_x)}{e^{S^1}(T_x X)} $$
が, $i_1+ \cdots +i_k \le d$のときに成立する。
10月18日にやったこと
complete symmetric polynomial $h_k$ の定義: $\vec{x} = (x_1,x_2,\cdots)$
$$\sum h_k(\vec{x})t^k = \prod\frac1{1-tx_i}$$
例.
複素射影空間 ${\mathbf C}P^n$への$S^1$作用を$S^1 \ni t\mapsto \mathrm{diag}(t^{m_0},\cdots,t^{m_n})\in\mathrm{GL}(n+1,{\mathbf C})$が誘導する作用とする.
$m_\alpha$は互いに相異なるものとする. すると
固定点は同次座標で$[1:0:\cdots:0]$, $[0:1:0:\cdots:0]$, $\cdots$, $[0:\cdots:0:1]$ の$n+1$個である. $\alpha$番目($0\le\alpha\le n$)の座標が$1$で, 他の座標が
$0$である点を$p_\alpha$とする. 接空間のEuler類 $e(T_{p_\alpha}{\mathbf C}P^n)$ は,
$$m_\beta - m_\alpha\quad (\beta\neq \alpha)$$
である. tautological bundle $\mathcal L$に$S^1$作用はliftし, $p_\alpha$における
ファイバーのウェイトは$m_\alpha$である. よって
$$\int_{{\mathbf C}P^n} c_1(\mathcal L)^n = (-1)^n$$
は, Bottの公式から
$$\sum_{\alpha=0}^n \frac{m_\alpha^n}{\prod_{\beta\neq\alpha} m_\beta-m_\alpha} = (-1)^n$$
と同値である. より一般に
$$\sum_{\alpha=0}^n \frac{m_\alpha^N}{\prod_{\beta\neq\alpha} (m_\alpha-m_\beta)} = h_{N-m}(\vec{m})$$
が, $N\ge m$について成立する. ただし, $N < m$のときは右辺は$0$と約束する. これは留数定理から従う.
例.
Grassman多様体$G(r,n)$を考える. 上と同様に$S^1$作用を定めると, 固定点
集合は$I\subset \{1,\cdots,n\}$ で $|I| = r$となるものと一対一対応する.
$I$に対応する$G(r,n)$の点を$S_I$であらわし, ${\mathbf C}^n$の$r$次元
部分空間と思うことにする. このとき$T_{S_I}G(r,n)$のウェイトは
$$m_\beta - m_\alpha, \qquad \beta\in I^c, \alpha\in I$$
となる.
tautological bundle $\mathcal S$に$S^1$作用はliftし, $S_I$におけるウェイトは
$m_\alpha$ ($\alpha\in I$)である.
演習問題.
$$\int_{G(r,n)} c_r(\mathcal S)^{n-r} = (-1)^{r(n-r)}$$
をBottの公式を用いて証明せよ. すなわち
$$\sum_{I} \frac{\prod_{\alpha\in I} m_\alpha^{n-r}}{\prod_{\alpha\in I,\beta\in I^c } m_\beta - m_\alpha} = (-1)^{r(n-r)}$$を示せ.
Schubert胞体の定義
$G(r,n)$は商空間として, 単射線形写像
$A: \mathbf C^r\to \mathbf C^n$の全体を
$\mathrm{GL}_r(\mathbf C)$によって割ってできる.
この記述を使って$G(r,n)$に$C^\infty$級多様体の構造を入れることができる.
商空間の一般論
- $G$をLie群, $M$を$G$が作用する$C^\infty$級多様体とする
- $G$の作用が自由(free)であるとは,
$\mathrm{Stab}_G(x) = \{ g\in G \mid g\cdot x = x\}$が単位元のみからなるときをいう.
- $\Gamma = \{ (x,g\cdot x)\in M\times M \mid x\in M, g\in G\}$を考える.
- $G$の作用が自由(free)であることと, $M\times G \to \Gamma$が全単射であることは同値である.
- $\Gamma$が閉集合であることと, $M/G$が(商位相に関して)Hausdorffであることは同値である.
- $G$の作用が自由(free)であり, $\Gamma$は閉集合であり, さらに$M\times G \to \Gamma$は同相写像であるとする. このとき $X = M/G$は射影$\pi: M\to X$が$C^\infty$級になるような$C^\infty$級多多様体の構造を持つ. さらに各点$x\in M$に対して $x\in N$となる部分多様体$N$で$\pi|_N: N\to M/G$は単射で, $T_x M = T_x N \oplus T_x (G\cdot x)$となるようなものが存在する. ($N$をスライスという.)
10月25日にやったこと
Grassmann多様体つづき
- $H^*(G(r,n)) = \mathbf C[c_1(\mathcal S),\cdots,c_r(\mathcal S),c_1(\mathcal Q),\cdots,c_{n-r}(\mathcal Q)]/c(\mathcal S)c(\mathcal Q)= 1$
- $H^*(G(r,n)) = \mathbf C[c_1(\mathcal S),\cdots,c_r(\mathcal S)]/ h_k(\mathcal S) = 0$ for $k > n-r$
- 特に $n\to \infty$とすると多項式環 $\mathbf C[c_1(\mathcal S),\cdots,c_r(\mathcal S)]$に一致する.
- $S^1$作用の定義に使ったウェイトを $m_1 < \cdots < m_n$となるように取り, さらに$S^1$作用を$\mathbf C^*$作用に拡張しておく.
- Schubert胞体は, $U_I = \{ S\in G(r,n) \mid \lim_{t\to 0} t\cdot S = S_I \}$と特徴づけられる.
- これはより一般的な状況で定義できる. $X$が$S^1$作用を持つシンプレクティック多様体で, $X^{S^1}$が$0$個でない, 有限個の点からなる場合, Hamiltonian に関する
gradient flowを考えて, stable manifold $U_x$ を定義する. また, 複素射影多様体で
作用が$\mathbf C^*$作用に拡張されているときに, 上の定義を用いる.
- このとき$U_x$の閉包の基本類(これが定義されることは非自明であるが正しい)
$[\overline{U_x}]$ は, $H_*(X)$の基底を与える.
Schur多項式
- パートの数が高々$n$の分割 $\lambda = (\lambda_1\ge \lambda_2 \ge\cdots \ge \lambda_n)$に対して, Schur 多項式 $s_\lambda$を
$$s_\lambda(x_1,\cdots,x_n) = \frac{\det(x_j^{\lambda_i+n-i})}{\det(x_j^{n-i})}$$
で定義する.
- 分母は差積 $\prod_{i < j} (x_i - x_j)$であり, 分子は分母で割りきれるので
$s_\lambda$は多項式であり, さらに対称多項式である.
- 定義式を書き換えると
$$s_\lambda(x_1,\cdots,x_n) = \sum_{\sigma\in S_n} \frac{x_{\sigma(1)}^{\lambda_1}\cdots x_{\sigma(n)}^{\lambda_n}}{\prod_{i < j} (1 - x_{\sigma(j)}/x_{\sigma(i)})}$$
となり, これは同変 K 群に関する Bottの公式 (Atiyah-Bott-Lefschetz不動点公式)を
旗多様体に適用した形をしている.
- elementary対称多項式$e_k$, complete 対称多項式 $h_k$を用いて
$$s_\lambda = \det(h_{\lambda_i+j-i}) = \det(e_{\lambda'_i+j-i})$$
と書くことができる. ただし, $\lambda'$は$\lambda$に共役な分割である.
次にグラスマン多様体の場合に戻って, Schubert胞体のクラス$[\overline{U_I}]$を$c_i(\mathcal S)$の多項式で書く.
- $\mathbf C^n$の standard flag $F_1\subset F_2\subset\cdots \subset F_n$を固定する. ($\dim F_\alpha = \alpha$)
- $I = \{ i_1 < i_2 < \cdots < i_r\}$ を固定する.
- $Fl = \{ (D_1\subset D_2 \subset \cdots \subset D_r, S) \mid D_k\subset F_{i_k}, \dim D_k = k, S\in G(r,n) \} $ とおく. 第二成分への射影を$p_2$とおく.
- $D_k$, $\mathcal S$, $\mathcal Q$を$Fl$上のベクトル束とみなすことにする.
- $D_r^{*}\otimes \mathcal Q$の切断$\sigma$を$D_r \subset \underline{\mathbf C^n} \to \mathcal Q$の合成とする. その零点集合を$\mathrm{Zero}(\sigma)$で表わす. すなわち, $D_r = S$となる集合である.
- $c_{r(n-r)}(D_r^{*}\otimes \mathcal Q)$は$[\mathrm{Zero}(\sigma)]$のPoincar\'e 双対である.
- $p_2(\mathrm{Zero}(\sigma)) = \overline{U_I}$ であり, $U_I$上で$p_2$は
同型写像を定める.
- $p_{2*}[\mathrm{Zero}(\sigma)] = [\overline{U_I}]$となる.
- $Fl$の定義において$D_r$を除いて定められるものを$Fl'$とおくと
$Fl$は, $Fl'$上の射影空間束 ${\mathbb P}(F_{i_r}/D_{r-1})$ となる.
- あとはSchur多項式に関する公式, 射影空間束の射影に関する公式を繰り返し用いて, 次をえる.
$$[\overline{U_I}] = \pm s_{\tilde\lambda'}(c(\mathcal S))$$
ただし, $\lambda$は$I$に対応する分割$\lambda = (i_r-r\ge i_{r-1}-r+1\ge\cdots\ge i_1-1)$ で, $\tilde\lambda = (n-r-i_1+1\ge n-r-i_2+2\ge\cdots\ge n-r-i_r+r)$, で, $\tilde\lambda'$はそのconjugateである.
11月1日にやったこと
§4. 同変(コ)ホモロジーによるBottの公式の証明
$T$をトーラスとして, $ET_N\to BT_N$を分類空間の有限次元近似とする.
- $0\ne n$に比べて$N$が十分に大きいとき, $H^n(ET_N) = 0$ となる.
- $BT_N$は, $BT_{N-1}$ に$N$に比べて十分に大きなcellを接着して得られる.
- $BT_N$は$C^\infty$多様体で, $ET_N$はその上の$T$-主束である.
$X$を$T$の作用を持つ位相空間で, さらにそのホモロジー群は十分大きい次数では消えているものとするとき
$$\begin{align}H^n_T(X) &= H^n(X\times_T ET_N)\\ H_n^T(X) &= H_{n+\dim BT_N}^{\textrm{l.f.}}(X\times_T ET_N)\end{align}$$
とおく. 同変コホモロジーと同変ホモロジーという.
例.
$X = \mathrm{pt}$のとき
$H^*_T(\mathrm{pt}) = {\mathbb C}[x_1,\cdots,x_r]$, $H_*^T(\mathrm{pt}) = {\mathbb C}[x_1,\cdots,x_r]\cap [\mathrm{pt}]_T$ ($r=\dim T$) となる. ただし, $\deg x_i = 2$ であり, $[\mathrm{pt}]_T$は, $\mathrm{pt}$の$T$同変-基本類である. 下をみよ.)
これは$T = S^1$ のときに$ET_N = S^{2N+1}$, $BT_N = \mathbb{C}P^N$で確かめて,
これの直積を取ればよい.
性質.
- 上の性質を満たす $ET_N\to BT_N$の取り方にはよらない.
- ファイバー束$X\times_T ET_N\to BT_N$より, $H^*_T(X)$,
$H_*^T(X)$は, $H^*_T(\mathrm{pt})$-加群になる.
- $T$-同変写像 $f: X\to Y$について, 引き戻し写像
$f^*: H^*_T(Y)\to H^*_T(X)$が定義される. さらに$f$が固有のとき
$f_{*}: H_*^T(X)\to H_*^T(X)$が定義される.
- $X$が向きづけられた$C^\infty$-多様体で, $T$の作用が$C^\infty$-級のとき, $T$-同変
基本類$[X]_T\in H^T_{\dim X}(X)$が定義されて, Poincar\'e 双対写像
$\alpha\mapsto \alpha\cap [X]_T$ が同型写像
$H^*_T(X)\to H_{\dim X-*}^T(X)$を与える. 上の次数の与え方は, Poincar\'e 双対写像の次数が, 通常のものと同様に振る舞うように決められている.
- $T$の作用が自明なとき, $H^*_T(X) = H^*_T(\mathrm{pt})\otimes H^*(X)$となる.
- $T$の作用が自由で$X\to X/T$が$T$-主束のとき, $H^*_T(X) = H^*(X/T)$,
$H^T_*(X) = H_{* - \dim T}(X/T)$となる.
- $X$上の階数$r$の向きのついた$T$-同変ベクトル束$E$に対して
同変オイラー類$e(E)\in H^r_T(X)$が定義される. $T$-同変複素ベクトル束については
同変チャーン類$c_k(E)\in H^{2k}_T(X)$が定義される. これは$X\times_T ET$に
ベクトル束が定義されることから, そこでオイラー類, チャーン類を取ればよい.
定理.
$T$をトーラスとし, $X$を$T$作用を持つ上の仮定を満たす位相空間で, さらに$T$の有限次元表現に$T$-同変に埋め込めるものとする. このとき $X^T$を $T$-作用の固定点集合とし, $i: X^T\to X$を包含写像とする. このとき
$$i^*: H^*_T(X) \to H^*_T(X^T), \qquad i_{*}: H_*^T(X^T) \to H_*^T(X^T)$$
の核と余核は $H^*_T(\mathrm{pt})$のねじれ加群である. より強く, $f\in H^*_T(\mathrm{pt})$ を$T$のLie環の複素化$\mathrm{Lie}T\otimes\mathbb C$上の多項式と
見て, $x\in X$のstabilizer $\mathrm{Stab}_T(x)$で$T$自身と異なるもの(i.e., 固定点以外でのstabilizer)のLie環の複素化に制限すると$0$となるようなものとすると, $f$は核と余核に$0$で作用する.
証明で用いられる補題
$T'\subset T$を部分群とする. $X$から$T/T'$への$T$同変な写像があると
$H^*_T(X)$, $H_*^T(X)$への$H^*_T(\mathrm{pt})$の作用は, $\mathrm{Lie}T\otimes{\mathbb C}\to \mathrm{Lie}T'\otimes{\mathbb C}$という制限写像を経由する.
実際$H^*_T(\mathrm{pt})\to H^*_T(T/T') \to H^*_T(X)$とfactorし, 真ん中は
$H^*(ET\times_T (T/T') = H^*(ET/T') = H^*_{T'}(\mathrm{pt})$となる.
11月8日にやったこと
上の続き
系.
$H^*_T(\mathrm{pt})$の商体を${\mathcal S}_T$とするとき
$$i^*: H^*_T(X)\otimes_{H^*_T(\mathrm{pt})}{\mathcal S}_T \to H^*_T(X^T)\otimes_{H^*_T(\mathrm{pt})}{\mathcal S}_T, \qquad i_{*}: H_*^T(X^T)\otimes_{H^*_T(\mathrm{pt})}{\mathcal S}_T \to H_*^T(X^T)\otimes_{H^*_T(\mathrm{pt})}{\mathcal S}_T$$
は同型写像になる.
さらに$X$をコンパクトな$C^\infty$級多様体で, $T$の作用は$C^\infty$級であるとし, 不動点集合$X^T$は有限個の点であるとする. $p: X\to\mathrm{pt}$を一点への写像とし, $p'$をその$X^T$への制限とする. このとき可換図式
$$\begin{array}{lcr}H^T_*(X^T)&\longrightarrow[75]^{i_*}&H^T_*(X)\\ \longdownarrow[50]^{p'_*}&&\longdownarrow[50]_{p_*}\\ H^T_*(\mathrm{pt})&\longrightarrow[75]_{\mathrm{id}}&H^T_*(\mathrm{pt})\end{array}$$
を考える. 左上の$H_*^T(X^T)$は$T$が$X^T$に自明に作用することから, $H_*^T(\mathrm{pt})\otimes H_*(X^T) = H_*^T(\mathrm{pt})\otimes H_0(X^T)$である. ($H_*^T(\mathrm{pt})$の$\sharp X^T$個のコピーの直和である.) その元を$\sum_{x\in X^T} \alpha_x \otimes [x]$ で表わすと, 左下向きの$p'_*$は有限個の点を一点に落とす写像から誘導される写像であり,
$$p'_*\left(\sum_{x\in X^T} \alpha_x \otimes [x]\right) = \sum_{x\in X^T} \alpha_x$$
で与えられる.
次に上の可換図式の各項に$\otimes_{H^*_T(\mathrm{pt})}{\mathcal S}_T$を適用する. すると, 二つの横向き矢印は同型写像になる.
$\alpha\in H^T_*(X)$を$H^T_*(X)\otimes_{H^*_T(\mathrm{pt})}{\mathcal S}_T$
の元に移したものも同じ記号で表わすことにし,
$(i_*)^{-1}(\alpha) = \sum_{x\in X^T} \alpha_x \otimes [x]$とする.
固定点$x\in X^T$を$X^T$に入れる包含写像を$i_x$とすると,
$\alpha = \sum_{x\in X^T} \alpha_x i_{x*}[x]$であり, さらにPoincar\'e双対
により$H^T_*(X)$と$H_T^*(X)$を同一視すると
$i_x^*(\alpha) = \alpha_x i_x^* i_{x*}[x] = \alpha_x e(T_x X)\cap [x]$となる.
ここで, $e(T_x X)$は接空間$T_x X$ の\bf 同変
オイラー類である. さらに, $e(T_x X)$は$T_x X$のウェイトの積で与えられ, $X^T$は孤立しているという仮定から$0$はウェイトになっていないので, $e(T_x X)$は$0$でない元である. 従って,
$\alpha_x [x] = \frac{i_x^*(\alpha)}{e(T_x X)}$となる.
これはより一般に次の形で成り立つ.
補題.
$X^T$は有限個の点とは仮定せず, 有限個の部分多様体の和であると仮定し,
$S$をその連結成分とする. $N_{S/X}$を$S$の$X$内での法束とするとき,
$$e(N_{S/X})\cap \cdot : H_*^T(S)\to H_*^T(S)$$は
$\otimes_{H^*_T(\mathrm{pt})}{\mathcal S}_T$を取ると同型写像である.
実際, $r$を$S$の余次元とし, $e(N_{S/X})\in H^r_T(S) = \bigoplus_{i+j=r} H^i_T(\mathrm{pt})\otimes H^j(S)$として, $e(N_{S/X})$の$H^r_T(\mathrm{pt})\otimes H^0(S)$ 成分を $e(N_{S/X})'$とすると, 上と同じ議論により $e(N_{S/X})'$ は
\bf 0でない
スカラー行列である. 一方, $e(N_{S/X}) - e(N_{S/X})'$を考えると,
$H^{>0}(S)$-成分に属していて, コホモロジーは十分大きな次数で消えるために
巾零行列になっている. 従って, $e(N_{S/X})$は可逆である.
以上をまとめると
$$ p_*(\alpha) = \sum_{x\in X^T} \frac{i_x^*(\alpha)}{e(T_x X)} $$
となる.
これは始めに述べたBottの公式に他ならない.
§5. アファイン平面上のヒルベルト概型
二変数多項式環${\mathbb C}[x,y]$の部分集合$I$で, 次の条件を満たすものの全体のなす集合を$\mathrm{Hilb}^n({\mathbb C}^2)$で表わす.
- $I$はイデアルである.
- $\dim {\mathbb C}[x,y]/I = n$
例.
- $p_1$, \dots, $p_n$を$n$個の相異なる${\mathbb C}^2$の点とし, これらの点の上で消える関数の全体を$I$とすると$I$は, $\mathrm{Hilb}^n({\mathbb C}^2)$の
元である.
- $p$を${\mathbb C}^2$の点, $v$を$p$における$0$でない接ベクトルとし,
$I = \{ f\in {\mathbb C}[x,y] \mid f(p) = 0, \langle df_p, v\rangle = 0\}$
とおくと, $I$は$\mathrm{Hilb}^2({\mathbb C}^2)$の元である.
$({\mathbb C}^2)^n/S_n$を${\mathbb C}^2$の$n$次対称積といい, $S^n {\mathbb C}^2$で表わす. 上の例(1)により, $S^n {\mathbb C}^2$から点がぶつかっている locus を
除いたものが$\mathrm{Hilb}^n({\mathbb C}^2)$の中に入っている. しかし,
例(2)で分かる通り, $\mathrm{Hilb}^n({\mathbb C}^2)$と$S^n {\mathbb C}^2$は異なるものである.
補題.
$\mathrm{Hilb}^n({\mathbb C}^2)$は, 次の二条件を満たす
$n\times n$行列$B_1$, $B_2$と$n$次元ベクトル$v\in {\mathbb C}^n$を
$\mathrm{GL}_n({\mathbb C})$の自然な作用で割った商と一対一に対応する.
- $[B_1,B_2] = 0$
- $v$は, $B_1$, $B_2$に関するcyclic vectorである. すなわち,
$v$に$B_1$, $B_2$を何回か掛けてできるようなベクトル全体で${\mathbb C}^n$が
張られる.
定理(Fogarty).
$\mathrm{Hilb}^n({\mathbb C}^2)$は, 滑らかな$2n$次元の複素多様体である.
11月15日にやったこと
行列表示による Fogarty の定理の証明
- $\mu(B_1,B_2,v) = [B_1,B_2]$とおく. 条件 $[B_1,B_2] = 0$は, $\mu = 0$となるが, 残念ながら $d\mu$は全射とならない.
- そこで, cyclic vector 条件をみたすtriple $(B_1,B_2,v)$のなす(ベクトル空間内の開)集合上のベクトル束を, $\mathfrak{gl}_n({\mathbb C})/\{ v {}^t w \mid w\in {\mathbb C}^n\}$ によって定義し, $p:\mathfrak{gl}_n({\mathbb C})\to \mathfrak{gl}_n({\mathbb C})/\{ v {}^t w \mid w\in {\mathbb C}^n\}$を自然な射影とする. すると
$p\circ \mu$ の微分は全射となり, $(p\circ\mu)^{-1}(0)$は複素多様体となる.
- $(B_1,B_2,v)$がcyclic vector 条件をみたし, $[B_1,B_2] + v{}^t w = 0$を
あるベクトル$w$についてみたすと, 自動的に $w = 0$となる.
- cyclic vector 条件を満たす集合は, $\mathrm{GL}_n({\mathbb C})$できれいに
割ることができる.
Hilbert-Chow morphism $\pi: \mathrm{Hilb}^n({\mathbb C}^2)\to S^n({\mathbb C}^2)$ の定義
- $B_1$, $B_2$を同時三角化して, 固有値をならべる.
$\pi^{-1}(0)$をpunctual Hilbert scheme という.
二次元トーラス $T^2$の${\mathbb C}^2$への自然な作用$(t_1,t_2)\cdot (x,y) = (t_1 x, t_2 y)$は, $T^2$の$\mathrm{Hilb}^n({\mathbb C}^2)$への作用を引き起こす. このとき
定理
(1) 固定点は, 単項式で生成されるイデアルであり, 箱の数が$n$個のYoung図形と
一対一に対応する.
(2) Young図形$Y$に対応する固定点における接空間の, $T^2$の表現としての指標は
$$ T_{I}\mathrm{Hilb}^n({\mathbb C}^2) = \sum_{s\in Y} t_1^{-l(s)} t_2^{a(s)+1} + t_1^{l(s)+1} t_2^{-a(s)}$$
で与えられる. ただし, $a(s)$, $l(s)$ は arm length, leg length である.
11月29日にやったこと
系1
$$\sum_Y \frac{q^{|Y|}}{\prod_{s\in Y} (-l(s)\varepsilon_1 +{(a(s)+1)}\varepsilon_2)(({l(s)+1})\varepsilon_1 - {a(s)}\varepsilon_2)} = \exp(\frac{q}{\varepsilon_1\varepsilon_2})$$
系2
$\mathrm{Hilb}^n({\mathbb C}^2)$のPoincar\'e多項式は
$$ \sum_{n=0} q^n P_t(\mathrm{Hilb}^n({\mathbb C}^2)) = \prod_{m=1}^\infty \frac1{1-t^{2m-2}q^m}$$
で与えられる.
- $\mathrm{Hilb}^n({\mathbb C}^2)$は連結
- $\mathrm{Hilb}^n({\mathbb C}^2)$のBetti数は, 奇数次, $2(n-1)$より大きい次数でも消える. また, $2(n-1)$次のBetti数は$1$である.
$\{\, I \mid \lim_{t\to\infty} (t^{-N},t^{-1})\cdot I$が存在する $\}$は,
punctural Hilbert scheme $\pi^{-1}(n[0])$と一致し, 特に上の計算から$\pi^{-1}(n[0])$の$n-1$次元の既約成分は一個であることが分かる. 実は, 既約であることも知られている. (Briancon)
§6. ヒルベルト概型とハイゼンベルグ代数
$\bigoplus_n H_*(\mathrm{Hilb}^n({\mathbb C}^2))$に`convolution'によって
Heisenberg代数の表現の構造を入れることができ, 無限個の変数
$p_1$, $p_2$, \dots, からなる多項式の全体 ${\mathbb C}[p_1,p_2,\dots]$への
Fock表現と同型であることが分かる.
12月6日にやったこと
二次元トーラスを一次元部分トーラス$\{ (1,t) \mid t\in {\mathbb C}^*\}$に制限して$\mathrm{Hilb}^n({\mathbb C}^2)$への作用を考える.
- 固定点の連結成分 $F_\lambda$ は, $n$の分割で$\lambda$でパラメトライズされる.
- $t\to\infty$のときに$F_\lambda$に収束するようなイデアルの全体を
$L_\lambda^\circ$とおき, その閉包を$L_\lambda$と表わすと,
$L^{[n]} = \bigsqcup L_\lambda^\circ = \bigcup L_\lambda$は, 台が
$\{ y = 0\}$に含まれているようなイデアルの全体である.
- $L_\lambda$は, 各$n$次元で, $L^{[n]}$の既約成分である.
- $\Pi: \mathrm{Hilb}^n({\mathbb C}^2)\to S^n{\mathbb C}$を
Hilbert-Chow morphism $\mathrm{Hilb}^n({\mathbb C}^2)\to S^n{\mathbb C}^2$と
$x$軸への射影$S^n{\mathbb C}^2\to S^n{\mathbb C}$の合成とするとき,
$L^{[n]} = \Pi^{-1}(n[0])$であり, $\Pi^{-1}$の一般のファイバーは ${\mathbb C}^n$となる. $\Pi$の各成分は互いにPoisson可換であり, 可積分系を与えている.
- $\bigoplus_n H_{2n}(L^{[n]})$に先週と同様にしてHeisenberg代数の表現の構造を
いれ, Fock空間と見なして対称多項式の全体の空間と同一視すると,
$[L_\lambda]$はorbit sum $m_\lambda$になることが分かる.
対称多項式と対称群の表現について簡単に紹介した.
12月13日にやったこと
シューア関数 $s_\lambda$ の幾何学的な解釈. Vasserotによる同変ホモロジー
$H^*_{S^1}(X^{[n]})$を用いた解釈について解説を行った.
§7. ${\mathbb R}^4$上のinstantonとADHM construction
定義
${\mathbb R}^4$上の接続$A$がASDであるとは, すべての${\mathbb R}^4\cong{\mathbb C}^2$に対して, $A$は複素構造とcompatibleであるときをいう.
定理
${\mathbb R}^4$上の$U(r)$-ASD接続$A$で,
$$\frac1{4\pi^2}\int_{{\mathbb R}^4} |R_A|^2 = k < \infty$$
となるものと, 次の条件を満たす複素行列$B_1$, $B_2$, $\Psi_1$, $\Psi_2$
が一対一に対応する.
- $V$を$k$次元ベクトル空間, $W$を$r$次元ベクトル空間とする.
- $B_1$, $B_2: V\to V$, $\Psi_1: W\to V$, $\Psi_2: V\to W$
- $[B_1,B_2]+\Psi_1\Psi_2 = 0$ (cpx equation)
- $[B_1,B_1^\dagger] + [B_2,B_2^\dagger] + \Psi_1\Psi_1^\dagger - \Psi_2^\dagger\Psi_2 = 0$ (real equation)
- $\mathrm{U}(V)$の, $(B_1,B_2,\Psi_1,\Psi_2)$への作用のstabilizerは自明
12月20日にやったこと
上の条件をみたす行列の全体を$\mathrm{U}(V)$の作用で割った商空間を
$M_0^{reg}(k,r)$で表わす.
cpx equationの左辺を$\mu_{\mathbb C}$, real equationの左辺を$\mu_{\mathbb R}$であらわす.
さらに, stabilizerが自明という条件をはずしてできる空間を$\mathrm{U}(V)$の作用で割ってできる空間を $M_0(k,r)$ であらわす.
命題
$$M_0(k,r) = M_0^{reg}(k,r)\sqcup M_0^{reg}(k-1,r)\times{\mathbb R}^4\sqcup M_0^{reg}(k-2,r)\times S^2{\mathbb R}^4\sqcup\cdots\sqcup M_0^{reg}(0,r)\times S^k{\mathbb R}^4$$
$M_0(k,r)$を$M_0^{reg}(k,r)$のUhlenbeck部分コンパクト化という.
定理(Donaldson)
$M_0(k,r)$は, $\mu_{\mathbb C}^{-1}(0)$を$\mathrm{GL}(V)$で幾何学的不変式論の意味で割ってできる, アファインGIT商である.
次の条件を満たす行列の四つぐみ $(B_1,B_2,\Psi_1,\Psi_2)$ を $\mathrm{GL}(V)$の作用で割ってできた商空間を$M(k,r)$で表わす.
- $\mu_{\mathbb C} = 0$ (cpx equation)
- $\Psi_1$の像を含み, $B_1$, $B_2$で不変な部分空間は存在しない.
$r=1$のときは二番目の条件は, cyclic vectorの条件に他ならない.
定理
(1) $M(k,r)$はnonsingular complex manifold of dimension $2kr$
(2) $\pi: M(k,r)\to M_0(k,r)$という固有な連続写像(実はprojectiveな正則写像)が自然に定義される.
(3) $M(k,r)$は, ${\mathbb C}P^2$上のrank $r$, $c_2=k$のtorsion free sheaf $E$と, 無限遠直線 $\ell_\infty$上の自明化
$\varphi: E|_{\ell_\infty}\cong {\mathcal O}_{\ell_\infty}^r$の組の
モジュライ空間 (枠付きモジュライ空間)に同型.
1月10日にやったこと
§8. Nekrasovの分配関数
$\iota_0: \{ 0\} = M_0(n,r)^{\widetilde T} \to M_0(n,r)$を固定点
集合の埋め込み写像とする. このとき
$$(\iota_{0*})^{-1}[M_0(n,r)]\in {\mathfrak S}_{\widetilde T}={\mathbb Q}(\varepsilon_1,\varepsilon_2,a_1,\dots,a_r)$$
と, Uhlenbeck部分コンパクト化$M_0(n,r)$の基本類を局所化定理で有理関数とみなしたものを考える.
このとき, その母関数
$$Z^{inst}(\varepsilon_1,\varepsilon_2,\vec{a};q) = \sum_k q^k (\iota_{0*})^{-1}[M_0(n,r)]$$
がNekrasovの分配関数である.
このときNekrasovの予想は,
$$\log Z^{inst}(\varepsilon_1,\varepsilon_2,\vec{a};q) = \frac1{\varepsilon_1\varepsilon_2} F_0^{inst} + higher$$
という展開を持って, $F_0^{inst}$はリーマン面の周期によって定義されるSeiberg-Wittenのプレポテンシャルである, というものである.
Giesekerの部分コンパクト化 $M(n,r)$と可換図式
$$\begin{array}{lcr}H^{\widetilde T}_*(M(n,r)^{\widetilde T})&\longrightarrow[75]^{\iota_*}&H^{\widetilde T}_*(M(n,r))\\ \longdownarrow[50]^{\pi_*}&&\longdownarrow[50]_{\pi_*}\\ H^{\widetilde T}_*(\mathrm{pt})&\longrightarrow[75]_{\iota_{0*}}&H^{\widetilde T}_*(M_0(n,r))\end{array}$$
により,
$$Z^{inst}(\varepsilon_1,\varepsilon_2,\vec{a};q) = \sum_{\vec{Y}} \frac{q^{|\vec{Y}|}}{e(T_{\vec{Y}}M(n,r))}$$
が分かる. ただし, $\vec{Y}$は, $M(n,r)$の固定点と見なした. $e(T_{\vec{Y}}M(n,r))$は, 組み合わせ論的に書けるものなので, 右辺は$q$の巾が小さいところから順番に計算することができる. しかし, Nekrasovの予想は, すべての$q$の巾に関わるものであることに注意する.
1月24日にやったこと
N-YoshiokaによるNekrasovの証明の概略
${\mathbb P}^2$の原点におけるblowup $\widehat{\mathbb P}^2$を考える.
そして, その上のframed torsion free sheafのモジュライ空間
$\widehat M(n,k,r)$を考える. ただし, $k = \langle c_1(E),[C]\rangle$,
$n = \langle c_2(E) - \frac{r-1}{2r} c_1(E)^2,[{\mathbb P}^2]\rangle$,
$r = rank E$である.
$\widehat\pi: \widehat M(n,k,r)\to M_0([n],r)$というproperな
連続写像が存在することが示される. ここで, $k$は, $0\le k < r$を満たすものとし, $[n] = n - \frac{k(r-k)}{2r}$と約束した.
このとき, $\mathfrak E$を$\widehat{\mathbb P}^2\times\widehat M(n,k,r)$上
のuniversal sheafとして, Donaldsonの$\mu$-mapを
$$\mu(C) = c_2(\mathfrak E) - \frac{r-1}{2r} c_1(\mathfrak E)^2/[C]$$
によって定義する. ただし, すべては$\widehat{T}$-同変コホモロジー類で
考える.
このときblowup上の同変Donaldson不変量として,
$$Z_{c_1=k}^{inst}(\varepsilon_1,\varepsilon_2,\vec{a};q,t) = \sum_{n,d} q^n \frac{t^d}{d!}\iota_{0*}^{-1}\widehat\pi(\mu(C)^d\cap[\widehat M(n,k,r)])$$
を考える.
証明は二つの部分を組み合わせてできる.
- (幾何学的な部分) 次元勘定により, $Z_{c_1=0}(\varepsilon_1,\varepsilon_2,\vec{a};q,t)$の$t^d$の係数は$0$となる. ただし, $0 < d < 2r$である.
- (組み合わせ論的な部分) $Z_{c_1=k}^{inst}(\varepsilon_1,\varepsilon_2,\vec{a};q,t)$は局所化公式を用いて, $Z^{inst}(\varepsilon_1,\varepsilon_2,\vec{a};q)$で書き表される.
(1),(2)を組み合わせると, $Z^{inst}(\varepsilon_1,\varepsilon_2,\vec{a};q)$が
ある種の関数方程式を満たすことが従い, その方程式から$Z^{inst}$の$q$の巾の係数が低い方から順番に決まることが分かる. したがって, 解は一意である.
この方程式を使うと, $\varepsilon_1\varepsilon_2\log Z^{inst}$が
$\varepsilon_1, \varepsilon_2 = 0$で正則であることが分かり, さらに
$F_0^{inst}$がある微分方程式を満たすことも分かる. Seiberg-Wittenのプレポテンシャルも同じ微分方程式を満たすことが知られているので, 証明が完結する.
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