1999年度後期講義「微分幾何学入門」
目次
開講のお知らせ
10月4日
10月18日
10月25日
11月1日
11月8日
11月15日
11月29日
12月6日
小テストのお知らせ
12月13日
12月20日
補講のお知らせ
1月17日
1月24日(補講)
試験のお知らせ
試験問題
合格者氏名と講評
10月4日(月)開講
2000年1月17日が最終講の予定. 単位は試験で認定する.
微分幾何学は, 微分可能多様体やその上の構造(リーマン計量など)を主に微分・
積分を用いて調べる学問です. この講義では, 空間内の曲面の微分幾何学に始
まって, 抽象的なリーマン多様体, ベクトル束の微分幾何などを取り扱います.
参考文献は, 講義中に適宜紹介するつもりですが, 取り敢えず今の時点で以下
のものを挙げておきます.
参考文献
- 小林昭七: 曲線と曲面の微分幾何(改訂版), 裳華房
- 砂田利一: 曲面の幾何, 岩波講座 現代数学への入門
- 森田茂之: 微分形式の幾何学2, 岩波講座 現代数学の基礎
10月4日にやったこと
§1. リーマン幾何へのintroduction
- 球面の二点を結ぶ長さが最短の曲線が大円であることの証明
- Poincare円板の定義, および長さが最短の曲線が境界と垂直に交わる円であることの証明
10月18日にやったこと
§2. 接続入門
- 直線の満たす微分方程式 d^2 c(t)/dt^2 = 0 を変分法で導く
- 曲線に沿った共変微分 ∇ の定義
- 変分法による測地線の方程式 ∇/dt (dc(t)/dt) = 0 の導出
10月25日にやったこと
(前回の続き)
- 曲線に沿ったベクトル場が平行であることの定義
- 平行なベクトル場の全体が接空間と同型な線形ベクトル空間であること
§3. ガウス曲率と平均曲率
- R^3内の曲面について復習
- 法ベクトルの定義, 型作用素の定義
- ガウス曲率, 平均曲率の定義
- 幾つかの例で計算
11月1日にやったこと
(前回の続き)
§4. orthnormal frame と接続形式
- 曲面上の orthnormal fram e_1, e_2, e_3 (= 法ベクトル) を取る.
- その微分 d e_1, d e_2, d e_3 を考えて, 接続形式 ω を
d e_i = Σ_{j=1}^3 ω_i^j e_j で定義する. ω = (ω_i^j) は, 交代行列である.
- ▽ e_1, ▽ e_2 を d e_1, d e_2 の接空間への直交射影として定義.
▽ e_i = Σ_{j=1}^2 ω_i^j e_j が成り立つ.
- 接続形式のゲージ変換について. ω' = dg g^{-1} + gω g^{-1}
- e_1, e_2 の双対基底 θ^1, θ^2 を取ると, 第一構造方程式
dθ^i = Σ_{j=1}^2 θ^j ∧ ω^i_j, 0 = Σ_{j=1}^2 θ^j ∧ ω^3_j
が成り立つ.
11月8日にやったこと
(前回の続き)
- 第二構造方程式 dω_1^2 = -K θ^1∧θ^2
- (∇_X II)(Y,Z) は, X, Y, Z に関して対称である.
- 第一基本形式 Edu^2 + 2F du dv + G dv^2 からLevi-Civita接続が定義される.
- ガウスの驚きの定理: ガウス曲率 K は, 第一基本形式から決まる.
11月15日にやったこと
(前回の続き)
- 曲面論の基本定理: 第一基本形式と第二基本形式から埋め込みを定める.
- Levi-Civita接続の特徴づけ: X(Y,Z) = (▽_X Y, Z) + (Y, ▽_X Z) と
▽_X Y - ▽_Y X = [X, Y]
11月29日にやったこと
§5. リーマン幾何学
参考書: 前に上げたものに加えて,
のリーマン幾何への促成コースの章
- リーマン計量, 定義と例
- (r,s)型テンソル φ: X(M) x...x X(M) --> X(M) x...x X(M) の定義
- アファイン接続と捻れ(torsion) T, 曲率(curvature) R テンソル
- リーマン計量から定まるLevi-Civita接続の存在と一意性
12月6日にやったこと
(前回の続き)
- 写像 f : S --> M に沿ったベクトル場とその共変微分
- 測地線の方程式
- 曲率テンソルの性質
小テストのお知らせ
12月13日(月)は, 小テストを実施します. 試験範囲は, 今まで授業でやった内
容で, 教科書, ノートは持ち込み可です. (学期末のテストは持ち込み不可に
なります.)
今回の小テストは, 学期末のテストの成績にプラスαして評価します. 学期末
のテストの成績が悪かった場合に, 今回のテストの成績をプラスして評価する
ことがありえると言うことです.
しかし, 成績に関することだけでなく, 今までの授業でやった内容を自分で再
確認するためにもぜひ受験するようにしてください.
12月13日にやったこと
問題のdvi file
解答は掲示板を参照のこと
12月20日にやったこと
§6. ベクトル束と接続
参考書: 前にあげたものに加えて,
- 小林 昭七 「接続の微分幾何とゲージ理論」裳華房
- 深谷 賢治 「ゲージ理論とトポロジー」シュプリンガー東京
ただし, これらは最初にあげた森田の教科書よりもさらに進んだ内容を取り扱
うのが目的で, 難しい.
- ベクトル束の定義, その切断の定義
- ベクトル束の例, 接束, 余接束, 双対束, テンソル積, etc
- 変換関数
- 接続の定義
- 接続の局所的な表示
補講のお知らせ
1/24(月)は, 本来試験期間であるが, 補講を行います.
1月17日にやったこと
(前回の続き)
- 接続形式の変換公式
- 曲率の定義
- 曲率の局所的な表示
- 曲線に沿った平行移動
- 平坦接続とその幾何学的な意味
1月24日にやったこと(補講)
§7. Chern-Weil理論
- ベクトル束に値を持つ微分形式と外微分作用素(の拡張)
- Bianchiの恒等式
- 曲率を用いたある閉形式の定義
- 上の閉形式のコホモロジー類は, 接続によらない. これを, ベクトル束のChern類と呼ぶ.
- Chern類の性質1 (naturality, Whitney 和公式)
- Chern類の性質2 (正規化) CP^1 の上のトートロジカル直線束のChern類を計算
試験のお知らせ
2月14日(月)に, 試験を実施します. 試験範囲は, 授業でやった内容(ただし補講の分は除く)で, 教科書, ノートは持ち込み不可です.
この試験と小テストの成績を合わせて評価します. 今回の試験の成績が悪かった場合に, 小テストの成績をプラスして評価することがありえると言うことです.
試験問題
問題のdvi file
解答のdvi file
合格者氏名と講評
nakajima@kusm.kyoto-u.ac.jp