インスタントンの数え上げ
中島 啓 (京大理)
1.講義題目
インスタントンの数え上げ
2.簡単な内容
ここでいう「数え上げ」とは, 多様体の大域的な不変量(オイラー数, ホモロ
ジー群, 微分形式の積分 etc)を局所的な量の和として書くことをいう. 例え
ば, ポアンカレ-ホップの定理がその典型である. 特に, 多様体にトーラスの
作用があるときには, その固定点(典型例では有限個の点である)の様子を調べ
ることで, 大域的な不変量が分かることがある.
局所的な量は, しばしば組み合わせ論的に興味深い対象があらわれ, その足し
上げを計算することは興味深い問題を提供する.
この講義では, これらの計算例を与えながら, 最終的にはインスタントン
のモジュライ空間の上の微分形式の積分を計算することを目標とする. 幾何学
的には, ある特別な4次元多様体の上でドナルドソン不変量を計算することに
なりが, 組み合わせ論としては, ヤング図形が現れ, マクドナルド多項式の理
論や, 戸田階層などの可積分系の理論などとも広いつながりを見せているので,
幾何以外の人にも面白い話題であると考えている. ただし授業ではその部分ま
では踏み込めないかも知れない.
3.必要な予備知識
予備知識はあればあるほど望ましいが, さまざまな計算例については多様体/
(コ)ホモロジーの基本的な知識があれば十分である.
nakajima@math.kyoto-u.ac.jp