理系の中でも物理系の女子生徒進学率は他学科と比較し低い状態が続いています。 本研究プロジェクトJST-RISTEX「科学技術イノベーション政策のための科学」横山プロジェクトは、この要因を社会の規範等から解明するためスタートしました。期間は2017年度10月-2020年9月(延長を入れて2021年3月)です。数物系に女子生徒が進学する際の社会的要因・障壁に注目し、親認識研究、一般イメージ研究、日英比較・要因モデル研究、パイプライン研究、キーワード研究、進路指導研究等々を進めています。本プロジェクトは、東京大学が推進するSDG'sプロジェクト(UTokyo FSI)に登録をされています。
私たちは、理系の中でも数学や物理学を主にする分野に女性が極めて少ない理由を明らかにしするため研究をスタートさせました。本研究プロジェクトを通じて見えてきたことは、能力差は性差ではなく個人によること、さまざまな社会的雰囲気が影響して、顕著なジェンダー差が生じているという全体像です。こうしたジェンダー差別による能力開発の機会損失は、優秀な女性が生きにくい日本社会の問題と同根であり、社会全体が変革をしていくことが期待されます。
プロジェクト実施期間2020年9月末までに、これらに関する7本の英語論文,3本の日本語論文,2本の総説を投稿しました。順次、発表を行い数学や物理学の能力のジェンダー差別をなくすエビデンスにしていただければと願っています。
調査にご協力を賜りまして誠にありがとうございました。いただいたデータの結果については、論文でご確認を頂けるように進めております。
すでに掲載、掲載決定のものから表示します。2021年中に全10本publishを目指します。
論文情報 | 解説パンフレット |
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1) Ikkatai Y.,Inoue A., Kano K., Minamizaki A., McKay E., & Yokoyama H.M.(2019). Parental egalitarian attitudes towards gender roles affect agreement on girls taking STEM fields at university in Japan’.International Journal of Science Education , 41(16), 2254-2270. リンク,日本語解説 親論文:多くの娘を持つ親が女性の理系進学に協力的であり、分野では薬学についで情報科学への賛同が多いことがわかった。情報科学は女性が極めて少ない分野であるが、就職が大変良いことを反映した結果であると見ている。また、男女平等意識の低い親は、女性の大学進学に否定的であることもわかった。 2)井上敦(2019).親の数学のジェンダーステレオタイプと娘の自然科学専攻.日本科学教育学会第43回年会論文集,9-12. 母親数学スレテオタイプ論文:「女性は男性に比べて数学能力が低い」にそう思うと回答した母親の娘は、そう思わないと答えた母親の娘より理系進学の割合が低いことがわかりました。 |
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3) Ikkatai, Y., Minamizaki, A., Kano, K., Inoue, A., McKay, E. and Yokoyama, H. M.(2020). ‘Gender-biased public perception of STEM fields, focusing on the influence of egalitarian attitudes toward gender roles’. JCOM 19 (01), A08. https://doi.org/10.22323/2.19010208. リンク,日本語解説 一般イメージ論文:STEM を含む 18 分野に対するジェンダーイメージを調査した結果、分野に対する性別適正のイメージについて、女性は看護学、男性は機械工学に向いているというイメージが強く、性役割に対する平等主義的態度のレベルが低い回答者ほど、看護学が女性に向いている、STEM(科学・技術・工学・数学)に関する分野は男性に向いているという傾向が見られた。 |
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4) Ikkatai, Y., Minamizaki, A., Kano, K., Inoue, A., McKay, E. and Yokoyama, H. M.(2020). ‘Masculine public image of six scientific fields in Japan: physics, chemistry,mechanical engineering, information science, mathematics, and biology’. JCOM 19 (06), A02. https://doi.org/10.22323/2.19060202. リンク,日本語解説 キーワード論文:科学の 6 つの分野(物理学・化学・機械工学・情報科学・数学・生物)に対して日本人が持つ代表的なイメージを、キーワードで抽出しました。また、それぞれのキーワードのジェンダーイメージ(男性的あるいは女性的)を測定したところ、生物以外の分野でどのキーワードも男性度が高いことがわかった。 |
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5) 井上敦・一方井祐子・南崎梓・加納圭・マッカイユアン・横山広美(in prep).高校生のジェンダーステレオタイプと理系への進路希望, 科学技術社会論研究. |
comming soon |
6) 一方井祐子・井上敦・南崎梓・加納圭・マッカイユアン・横山広美(in prep).STEM分野に必要とされる能力のジェンダーイメージ:日本とイギリスの比較研究, 科学技術社会論研究. |
comming soon |
7) Ikkatai, Y., Inoue, A., Minamizaki, A., Kano, K., McKay, E. and Yokoyama, H. M.(in prep) ‘New model with social climate of the public image of masculinity in physics and mathematics in Japan and England’. Public understanding of science |
comming soon |
自己紹介:しろくまシグマちゃんと、あひるのクワちゃん。シグマちゃんは故郷は北極。温暖化を止める科学者になりたい。クワちゃんは、プログラミング大好き。AIを使ったお仕事をしたいな。スタンプ、おともだちやおうちのひととつかってね。先生がプリントにはってくれたら、うれしいな。
2018/11/13 科学史の専門家と考える
三重大学名誉教授・小川眞里子先生、名古屋大学教授・隠岐さや香先生と共に、STEMと女性、マイノリティについて議論をしました。
科学と女性、そして歴史的、マイノリティの側面から充実した議論が展開されました。
「数物系進学を阻む社会的・文化的要因は何か」
場所: 名古屋大学ジェンダー・リサーチ・ライブラリ2階 会議室
日程: 2018年11月13日(火)
時間: 10:20-16:30 (途中、昼食・休憩をはさむ)
主催: 科学とジェンダーを考える会
共催: JST Ristex横山広美PJ
プログラム
10:20-10:30 小川と横山から挨拶。出席者の自己紹介
10:30-11:10 講演と質疑 隠岐さや香 名古屋大学教授
11:10-11:50 講演と質疑 小川眞里子 三重大学名誉教授
13:00-13:10 「数物系女子はなぜ少ないのか Ristexプロジェクト進捗について」 横山広美 東京大学 教授
13:10-13:50 「日本における学問のイメージ・親の意識調査」 一方井祐子 東京大学研究員 南崎梓 名古屋大学KMI研究員
13:50-14:20 「女子の理工系分野選択の決定要因-高校生追跡調査を用いた分析-」 井上敦 NIRA総研研究員
14:20-14:40 「男女別学時代の理科教科書比較」加納圭 滋賀大学 准教授
14:40-15:00 「STEM 分野における性的少数者:英語文献のサーベイ」 ユアン・マッカイ 東京大学 特任助教
15:00-16:30 総合ディスカッション
2018/11/12 心理学研究会
社会心理学がご専門の同志社大学、中谷内一也先生と議論を行いました。
本プロジェクトでは社会心理学の知見を取り入れた実験研究を念頭に、中谷内一也先生とのディスカッションを行いました。
場所: 同志社大学今出川キャンパス明徳館地下心理学実験室第8室
日程: 2018 年11 月12 日(月)
時間: 14:00-17:00
プログラム
14:00-14:10 「数物系女子はなぜ少ないのか Ristex プロジェクト進捗について」 横山広美 東京大学 教授
14:10-14:50 「日本における学問のイメージ・親の意識調査」 一方井祐子 東京大学研究員
14:50-15:20 「女子の理工系分野選択の決定要因-高校生追跡調査を用いた分析-」 井上敦 NIRA 総研研究員
15:20-16:40 「男女別学時代の理科教科書比較」 加納圭 滋賀大学 准教授
16:40-17:00 「STEM 分野における性的少数者:英語文献のサーベイ」 ユアン・マッカイ 東京大学 特任助教
出席者
中谷内一也 同志社大学心理学部 教授, 横山広美 東京大学Kavli IPMU 教授, 一方井祐子 東京大学 Kavli IPMU 特任研究員, 井上 敦 NIRA 総合研究開発機構 研究員, 加納 圭 滋賀大学教育学部 准教授, ユアン・マッカイ 東京大学広報戦略本部 特任助
2018/8/10 第1回Ristex横山PJ 研究会
教育社会学がご専門で、長く女性の理系進学についてご研究をされている河野銀子先生をお迎えし議論します。
研究会では内閣府の調査にもかかわっておられる河野銀子先生に概要をご紹介いただき、総合ディスカッションでは個人要因、家庭要因、学校要因、社会経済的要因などが女子の理系進路選択にどう影響しているのかについて多角的な観点から議論します。
場所:政策大学院大学(東京・六本木)4B研究会室 アクセスについてはこちらからご確認ください。
主催:JST-RISTEX「科学技術イノベーション政策のための科学」横山PJ
後援:東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構
日時: 2018/8/10(金)18:00~20:00
申し込み: こちらから登録をお願いいたします。
問い合わせ先:ristex-yokoyamapj@googlegroups.com
プログラム:
18:00-18:15 ご挨拶・プロジェクトの進捗報告
横山広美 東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構 教授
18:15-19:00 「女子の理系進路選択」
河野銀子 山形大学学術研究院 教授
概要:日本の大学では、理工系分野を専攻する女性が少ない現状があります。 理系分野に女性が少ない要因に関する理論を簡単に紹介するとともに、その一因である大学入学前の段階(主に中高生)に注目してお話しします。情報交換・意見交換の場となれば幸いです。
総合ディスカッション 19:00-20:00
2018/6/17 第1回Ristex横山PJシンポジウム
教育心理学からの示唆および、特に機械工学、物理学の取り組みについて
理系の中でも物理系の女子生徒進学率は他学科と比較し低い状態が続いています。 2017年度10月に採択されたJST-RISTEX「科学技術イノベーション政策のための科学」横山プロジェクト「多様なイノベーションを支える女子生徒数物系進学要因分析」では、 数物系に女子生徒が進学する際の社会的要因・障壁に注目し、研究を進めています。今回は、採択から半年間の研究活動について紹介し、教育心理学分野の近年の研究、および学会代表の皆様による 活動をご紹介いただき解決に向けた糸口を探ります。
場所:東京大学柏キャンパス Kavli IPMU 国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構
主催:JST-RISTEX「科学技術イノベーション政策のための科学」横山PJ, Kavli IPMUセミナー
後援:東京大学大学院情報学環・学際情報学府
日時: 2018/6/17(日)13:00~17:00 (受付開始 12:30)
問い合わせ先:ristex-yokoyamapj@googlegroups.com
プログラム:
13:00~13:10 ご挨拶と趣旨説明
横山広美(東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構・教授)
司会者=加納圭(滋賀大学教育学部・准教授)
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13:10~13:30 「Ristex多様なイノベーションを支える女子生徒数物系進学要因分析 ~プロジェクトの進捗と課題~」
横山広美(Kavli IPMU教授)一方井裕子(Kavli IPMU特任研究員)
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13:30~14:10 女性の数学に対する態度とステレオタイプ
森永康子(広島大学大学院教育学研究科・教授)--
14:10~14:50 理系は男性職? 職業イメージと自己効力に着目して
安達智子(大阪教育大学教育学部教育協働学科・准教授)--
14:50~15:20 コーヒーブレイク / ポスター発表
プロジェクトメンバーによるポスター等の発表を行います。--
15:20~15:40 理工系分野における女性研究者・技術者のEmpowermentに向けて ~ 日本機械学会における取組について~
大島まり(東京大学大学院情報学環/生産技術研究所・教授、日本機械学会前会長)--
15:40~16:00 物理学会の会員情報にみる日本のジェンダー問題
野尻美保子(高エネルギー加速器研究機構・教授、日本物理学会男女共同参画推進委員会長)--
16:00~16:50 総合ディスカッション
村山斉(Kavli IPMU・機構長)、森永康子(広島大学大学院教育学研究科・教授)、安達智子(大阪教育大学教育学部教育協働学科・准教授)、大島まり(東京大学大学院情報学環/生産技術研究所・教授)、野尻美保子(高エネルギー加速器研究機構・教授)、 プロジェクトメンバー:ファシリテーター 一方井裕子(Kavli IPMU特任研究員)
16:50~17:00来賓の皆様からのコメント