講演者:市川幸平 (京都大学)
タイトル:あかり2.5--5.0 um分光観測から探る赤外線銀河のダストのエネルギー源
アブストラクト:赤外線域でダストからの再放射が卓越し、非常に明るく (L_IR > 10^10 Lsun)輝く銀河を赤外線銀河という。このような銀河中には、爆発的な星生成活動または活動銀河核 (AGN) が、塵に深く覆い隠されて存在すると考えられている。赤外線銀河のうち、どの程度が埋もれたAGNを持ち、かつ全赤外線光度のうちどの程度の割合がAGN由来なのかを定量的に知ることは、銀河と超巨大ブラックホールの共進化の理解へつながる重要なトピックで ある。我々は、AKARI/IRCのスリットレス分光モード (2.5-5.0 um) を用いて、近傍の赤外線銀河を広い光度範囲 (10^10 Lsun < L_IR < 10^13 Lsun) にわたって観測した。我々はこの波長バンドにおける連続光を、 星成分とAGNトーラス成分の2成分でモデル化することで、AGNトーラス成分の温度やエネルギーの寄与を定量的に見積もった。その結果、超/高光度赤外線銀河 (U/LIRG) のうち、70%以上が埋もれたAGN のサインを持つことを確認した。いっぽう、全赤外線光度におけるAGNトーラスのエネルギーの寄与は、LIRGでは~5%、ULIRGでもたかだか~20% 程度であることも判明し、全赤外線光度の大部分はAGNではなく、星生成由来であることがわかった。また、この手法はJWST時代には、AGN活動と星生成活動が活発な遠方宇宙 (z~1) に対してもそのまま適用が可能である。
発表スライド:(PDF) (Keynote)