講演者:日下部晴香 (東京大学)
タイトル:z~2のLAEsの赤外放射で探る 小質量銀河のダスト吸収
アブストラクト:銀河のダスト吸収量や星形成率を正確に求めるには、ダスト放射 (赤外光度) を測定することが不可欠である.GOODSSにおいて, 我々が得た z $\sim$2の LAE サンプル に対して, Herschel/PACS と Spitzer/MIPS の深い公開データのスタッキング解析を行なうことで, 平均的な LAEs の赤外光度に初めて強い制限を与えた. MIPS 24$\mu$m と PACS 70, 100, 160$\mu$m のどのバンドでも非検出であったことから, LAEs の赤外光度は大変弱いことが分かった. 赤外光度に対して最も厳しい上限値を与える MIPS 24$\mu$m の結果から, ダストに隠された星形成率は, 静止系紫外光度から推定される星形成率と同程度かそれ以下であること, 同時代の他の銀河に比べて Ly$\alpha$ 光子の脱出率が高いことなどが 分かった.公開されている多波長データを有効に使い、LAEsの性質についてより詳細な議論をする.本研究は、ダスト放射を観測することがより困難な更に遠方のLAEsへの応用や、Ly$\alpha$の輻射輸送の理論モデルの議論にも有用である。