講演者:山田志真子 (北海道大学)
タイトル:元素組成から探る銀河系形成過程 - 銀河系ハローから円盤の形成史の解明
アブストラクト:我々は銀河系の超金属欠乏星の表面元素組成の分析を通して、銀河系ハローには、元素組成の特徴の異なる4つの星の種族があることを示した。又、それを基礎に、銀河系ハローの形成過程には、星形成率、初期 質量関数、及び、星 形成のサイトが異なる2成分があることを解明した。更に、元素組成の違いに基づき、金属量が増加した段階でのハローから円盤ディスクへの遷移を調 べ、矮小銀河との比較を考慮して、星形成率、初期質量関数の変遷について 明らかにs多。これらはnear field cosmology の新たな成果であり、銀河初期形成史について新しい描像を提起するものである。これら銀河系の金属欠乏星の探査と8m級の大型望遠鏡による高分散分光観測によって初めて可能になったものであるが、同様の研究が、HSCによるsurvey 観測、TMT望遠鏡による中・低分散分光観測が実現す れば、アンドロ メダ銀河や局所銀河群の矮小銀河に ついても、carbon starsの統計やmetallicity分布を調べることによって、可能になるであろう。それにより、our Galaxy 以外の近傍銀河にについても、our Galaxy同様、銀河形成過程について新 たな知見が得られることが期待される。