アブストラクト:
 宇宙論的構造形成理論に基づく準解析的銀河形成モデル νGC (Nagashima et al. 2005) を拡張した新しいモデル、ν^2 GCで用いている宇宙論的N体シミュレーションについて紹介する。 銀河や活動銀河核の宇宙論的な形成と進化、そしてそれらの空間分布を明らかにするためには、大きい計算体積の中でのダークハロー形成史を高分解能で追う必要がある。我々は国立天文台の「アテルイ」や、理化学研究所の「京」といったスーパーコピュータを駆使することで、最大でダークマター粒子数約5500億、ボックスサイズ1.12Gpc/h の世界最大級の超大規模シミュレーションを実行し、ダークハロー形成史を作成した。また、ダークマター粒子数約86億、ボックスサイズ140Mpc/hと70Mpc/hの高分解能シミュレーションに基づいたダークハロー形成史も作成した。最大のものと比べボックスサイズは小さいものの、質量分解能がそれぞれ8倍、64倍高いため、矮小銀河や高赤方偏移銀河の研究に適している。これらのシミュレーションの宇宙論パラメーターは、Planck衛星の最新観測結果に基づいている。 本ポスターでは、シミュレーションの詳細やダークハロー形成史の作り方、ダークハロー質量関数や質量進化史、merger rate などの基本統計量を紹介するとともに、世界の他のグループによって行われてきた大規模シミュレーションに対する優位性を議論する。