アブストラクト:
表面星質量密度が高い銀河では赤方偏移にあまり依らず星形成活動が低く受動的に進化している銀河の割合が高いことが知られているが、その原因はよくわかっていない。本研究では、表面星質量密度が高くなると低質量星からの放射場が強くなり、それによって大局的にdiffuse ISM中のダストの平衡温度が高くなるのではないかと考え、CANDELS領域のz<1の銀河について、星質量と近赤外表面輝度プロファイルの情報からいくつかの単純化の仮定のもとで期待されるダスト温度を見積もった。その結果、期待されるダスト温度が、diffuse ISM中でのダストを触媒とする水素分子生成率が急激に低下することが示唆されている20Kを超えるにつれて、受動的に進化する銀河の割合が高くなることが分かった。もし、diffuse ISM中で水素分子生成が抑制され、水素分子のUV遮蔽効果が効かないことが星形成の抑制につながるのであれば、このダスト温度の効果で銀河の表面星質量密度と星形成活動の相関関係を説明することができるかもしれない。