アブストラクト:
従来のクエーサー吸収線研究では、一視線方向の吸収体の情報しか調査できなかった。だがレンズクエーサーを背景光源に用いることで、吸収体を多視線で捉えることが可能になり、遠方宇宙の吸収体のサイズや分布といった空間情報を取得できるようになった。そこで我々は重力レンズクエーサー探査に用いられたレンズクエーサー10天体の分光データと、文献から得られた3天体の吸収線サンプルを用い、吸収体の諸性質を統計的に調査した。さらに赤方偏移、等価幅、視線間距離、電離状態などに基づいてサブサンプルを構築し、パラメータ間の相関を探った。特に視線間距離と等価幅の相違に対しては、球対称な内部構造をもつシンプルな吸収体モデルとの比較を行った。