アブストラクト:
ダークマターハローはガス冷却やフィードバックなどを通して銀河の形成・進化に影響を与えている。我々はすばる/Hyper-Suprime Cam (HSC) の超広視野撮像データとハッブル望遠鏡の深撮像データを用いて10,381個のLyman break galaxy (LBG)を赤方偏移z~4-7で選択した。この大規模銀河サンプルにクラスタリング解析を適用することでハロー質量を推定し、ハロー質量に対する銀河の星質量比であるstellar-to-halo mass ratio (SHMR)を調べた。得られたSHMRは赤方偏移進化を示しており、ハロー質量Mh~10^11 MsunのSHMRはz~0からz~4で2倍減少し、z~4からz~7で4倍増加していた。我々はこのSHMR進化を宇宙論的流体シミュレーション及び準解析的モデルの予測と比較した。これらの理論予測は観測されたz~0からz~4のSHMR減少とは矛盾しなかった一方、z~4からz~7のSHMR増加は再現できなかった。これは現在の銀河形成モデルでは、z~4からz~7のSHMR進化を説明するには極端な物理過程、もしくは新たな物理機構が必要であることを示唆しているのかもしれない。また我々はクラスタリング解析で求めたハロー質量をアバンダンスマッチング法の結果と比較したが、こちらはハロー質量にして3倍以内の一致を示していた。