アブストラクト:
クエーサーの可視域の放射は、超巨大ブラックホール周辺の降着円盤から生じる熱輻射を起源とすると考えられている。クエーサー可視域放射の観測的性質として、(1) 数10%程度の振幅の光度変動を示すこと、(2) 偏光度1%以下程度の弱い直線偏光を示すことが知られているが、これらの現象がどのような物理過程によって生じているかは明らかになっていない。本講演では、これまでに行われた多バンド光度変動観測、偏光分光観測、および偏光変動観測によって、クエーサー可視域放射の変光・偏光現象の起源に対してどのような観測的制限が得られているかを概説する (Kokubo et al. 2014, Kokubo 2015, Kokubo 2016)。