アブストラクト:
高速電波バーストFRB121102は、可視光観測による母銀河の赤方偏移(z=0.193)の測定が初めて可能となったFRBである。我々は、FRB121102の母銀河に対して、Subaru/Kyoto3DII+AO188による可視光AO面分光観測(0.73-0.92μm)を実施した。その結果、母銀河の星の分布に比べてコンパクトな、単一のHα放射領域(< 0.57秒角 at FWHM)が検出された。このHα放射領域の中心位置とFRB121102の位置との間のオフセットは約0.08秒角であり、FRB121102がHα放射(=星形成)領域の内部で生じていることを示している。この観測結果は、FRB121102が若いパルサー/マグネター起源であるというモデルを支持している。また、観測されたHα領域によるdispersion measure(DM)寄与の上限値から、銀河間空間に存在するバリオン密度についてΩ_{IGM} > 0.029 という制限を得た。