発表のときに気をつけたらよいこと

色んな学生さんのプレゼンをみることがありますが、同じことを何度も異なる人に指摘する気がするので、まとめておこうかと思いました。 勿論絶対的なルールではなく、わかっていて破るのもあっていいと思いますが、それでも、基本的なルールはあると思います。 まあ、ここに書いたのは概ね僕がとても個人的に気になる点に過ぎず、人によってまた業界によって異なることだとは思いますが。 項目の順序にあまり意味はありません。 (2024/5/22初稿;5/23追記)

以下のことが実現できるように、一度は壁にむかって発表練習する。
一度話してみることで、以下の問題点に抵触していないかがわかります。 大切なセミナーなら、事前に指導教員や、同輩に時間をとってもらって聞いてもらっても良いと思います。
ページ番号を何ページ目/全ページ数の形式でいれておく。
24 ページ中 5 ページなら 5/24 などとします。 こうすると聞いているほうは後どれくらいで終わるのか安心できます。
与えられた時間を延長しない。与えられた時間より短くなり過ぎない。
ジャイアンの歌を延々と聞かされているのび太君たちの気分にならせないようにしましょう。また、短過ぎてもおかしなものです。
話すことはスライドに書く。話さないことはスライドに書かない。
もちろん、セミナー後にファイルをダウンロードしてもらって読んでもらったときにわかりやすいように、話さないけれども書いておくことがあってもよいです。 また、話すと全部書いたらスライドが込み入ってしまうし、わかる人にだけ伝わるコメントを口でいいたいのでそれは書かないでおく、というのもあってよいです。 しかし、セミナーで発表していて、聴衆に質問されたわけでもないのに、あ、書き忘れていたという感じで黒板にチョークで説明を書きはじめるのは準備不足でしょう。
発表の際に前のスライドに戻らないようにする。
時折質問されてもないのに説明の途中で数ページ前までスライドを戻して、何かをみせたあと、また元の場所に戻ってくる人がいますね。 その時にページがすこしズレてしまって慌てたりします。 こういうことがないように、必要な内容は必要な場所に書いておきましょう。 繰り返しになってもいいと思います。
スライドの内容をすこしずつ表示するのは使い過ぎないようにしよう。
話を聞きながらページの先を読んでいるひともいます。 質問されたりして事前のページに戻って、また説明を終えてもとの箇所に戻るときに、画面が非常にちらつきます。 勿論効果的に使うことも出来ますが、闇雲にそこらじゅう使うのはどうかと思います。
「 X と思うかもしれないが、実は Y だ」 「昔の研究では X ということだったが、実は Y だ」というのは止めよう
発表者が Y の説明に至る前に「あれ、X だったっけ、X が正しいとしたら、こうなはずだとおもうけれども、それはおかしいし」と考えていると、 発表者が Y の説明をして「じゃあ X は言わなくてもよかったじゃないか」となったことが何度もあります。 非常に混乱します。 あなたの研究の過程では X は自然な間違い方だったかもしれませんが、他の人が同様に勘違いをする保証は全然ありません。 「いや、普通 X って思いがちだろう」と思うかも知れませんが、周りのひとに確認したことがありますか? ある項目の正しい理解のしかたを人に理解させることは出来ますが、間違い方は千差万別なので、それを理解させるのは大変です。 大体、X の説明は結局いらないので、時間の無駄です。正しい Y だけ説明しましょう。
どんな質問が出そうか、考えておく。
備え有れば憂い無しです。 スライドのおしまいに想定質問の答えをつけておくことも出来ます(そういうのをバックアップスライドといいます)。 バックアップスライドから発表中の元の箇所へのスクロールのしかたも練習しておければさらに良いですね。
聴衆が大体どんな人たちか、どんな研究をしているかを事前にざっと調べておく。それに応じて内容を調整する。
これは高等テクニックですが、余裕があれば。 聴衆に○○さんが居るのを知っていたら、○○さんの関連論文を強めに引用しておくと雰囲気は良くなります。 ここの研究グループはこのあたりを詳細に研究しているからそちらに響きそうな話題につなげておく、ということも出来ます。 あの人なら、あのグループの人たちなら、こういう質問が出そうだ、と答えを考えておいたり、はじめから説明を書き加えることもできるかもしれません。 また、僕ですと同じ論文を数学者相手に説明したり弦理論屋相手に説明したりすることがあります。そうすると相手によって全然説明のしかたは変えないといけなくなります。