講演者:荒尾幸絵
タイトル:銀河系ハローの三次元非一様化学進化による鉄より重い元素の合成
アブストラクト:金属欠乏星の化学組成比と金属量との相関関係やその分散からは銀河系初期の星の元素合成についての手がかりが得られる。特に、ストロンチウムなどの元素は化学組成比に大きな分散が見られる。それに対し、亜鉛などの鉄族元素は分散が小さいにも関わらず金属量との相関関係に特徴的な傾向がみられ、両者の統一的な説明は難しいため問題視されてきた。 一方Wanajo et al. (2013) によって、電子捕獲超新星爆発(ECSN)でZnからZrまでの元素が充分に合成される可能性が示された。もし上記のような分散が個々の超新星爆発の元素合成の違いを反映したものなら、亜鉛などの観測的特徴はこのような超新星爆発による元素合成を示すかもしれない。 そこで本研究では、超新星爆発の局所的影響による星間ガスの化学組成の非一様性を考慮した化学進化モデルを構築し、ECSNモデルを用いて計算を行った。その結果、亜鉛などの鉄より重い元素の起源に10太陽質量程度の軽い星の超新星爆発が寄与している可能性が示唆された。
発表スライド:(PPT)