講演者:播金優一 (東京大学 ICRR)
タイトル:可視・近赤外線分光で探る遠方銀河の星形成フィードバック
アブストラクト:銀河進化・銀河形成の研究において、星形成活動を抑制するフィードバックと呼ばれる機構は残された課題の一つである。フィードバックは観測的に得られた銀河の光度関数を理論的に予言するために必要な機構であり、大質量側では活動銀河核、小質量側では星形成に伴う恒星風や超新星爆発などに寄る星間ガスの加熱や流出が起こり、星形成活動が抑制されていると考えられている。しかし、フィードバックが形成途中の遠方銀河で実際に働いているのか、どのような条件で引き起こされているのかなど、観測的に明らかにされていない部分も多い。我々はすばる望遠鏡の広領域狭帯域撮像データにより発見されたz=1.2の[OII]ブローブ(Yuma et al. 2013)に対して分光観測を行い、遠方銀河に見られるフィードバックの研究を進めている。[OII]ブローブとは[OII]3727輝線が30 kpc以上の空間に広がっている天体であり、フィードバックによる電離ガスの放出が起こっていると期待される。発見された12個の[OII]ブローブの中で、最も星質量の大きい[OII]ブローブ(OIIB1)は、内部に活動銀河中心核があることがYuma et al. (2013)で報告されている。本研究では超新星爆発による電離ガスの流出が起こっていると期待される[OII]ブローブ(OIIB10)に対してMagellan/LDSS3とKeck/MOSFIREによる分光観測を行った。Magellan/LDSS3による可視分光では、MgII2796,2804の吸収線などからアウトフロー速度が80-260km/sにおよぶことを確認した。Keck/MOSFIREの近赤外線分光では、Hβ, [OIII]4959,5007の輝線の検出に成功した。輝線比などの情報からOIIB10は活動銀河核を持たず、超新星爆発などによるガスの加熱で[OII]輝線が空間的に広がったのだと考えられる。
発表スライド:(PPT)