大学院志望者の方への参考資料

山崎雅人(やまざきまさひと)1

最終更新:2026-08-14

はじめに

本稿では東京大学大学院において私(山崎雅人)の指導のもとでの勉強・研究を希望される学生の方のための最小限の情報を, 技術的な内容を中心にまとめました.

なお,大学院の制度上の詳細,例えば大学院入試の詳細に関しては年によって変わることもありますし, 私が勘違いをしている可能性もあるので,大学の正式なホームページで最新の情報を確認するようにお願いします.

私自身の研究について

私がこれまで研究してきたのは理論物理学,その中でも素粒子理論,場の量子論や超弦理論 になりますが,素粒子現象論、格子ゲージ理論,宇宙論,統計力学,量子情報理論,物性理論などの物理学の他分野の研究も行ってきましたし, 学際的な研究を得意にしています. また,素粒子理論や超弦理論の研究にも関連して純粋数学(幾何が多いですが代数,解析を問いませんし,表現論,可積分系なども含む) の研究も行っており,数理物理の側面も強いです.実際には,研究内容は私自身の興味に応じて私の研究内容は日々刻々と 変化してきており,私自身にも将来の研究内容は必ずしも明らかではありませんし,そのことこそが 研究の醍醐味ともいえます.

大学院は一義的には研究するために進学する場所であるので, 大学院や指導教員の選択にあたっては,どの場所でどういう研究が行われているか, また自分の研究したいことがどこで研究されているかを 大雑把でもいいので把握しておくことがとても重要だと思います2

以下では私の研究内容について具体的なことはほとんど書かれていませんが, 私のこれまでの研究活動に興味を持たれた方は

をご覧ください.3 論文や講演のスライドやビデオがダウンロードできますし,一般向けの科学雑誌への寄稿や アウトリーチ活動などの記録も残っているので,興味や予備知識のレベルに応じてご覧いただけるかと思います. また,

も各種講義・講演の記録があり,内容に加えて僕がどんな人間であるか知る上でも参考になると思います. 既に東大に所属している学部生の方であれば,私の講義を聞きに来てもらうといいかもしれません.

2015年には

を執筆しました.現在はこの本の研究内容そのものを研究している時間は多くないですが, 広い意味で関連・類似した数理物理の研究を行っていることも多いです.

私の研究の定量的データについては

などを参考にしてください. 私の研究費の状況については

が参考になります.ただし,科研費以外の研究費もあるのでここに全てが記載されているわけではありません. 素粒子理論・超弦理論の研究室としては珍しく,企業との共同研究にも取り組んでいます.

研究室に現在在籍中の大学院,あるいは卒業生の情報については個人情報もあるので細かくは書きませんが, 現在・過去の在籍者のデータについては

をご覧ください.研究室の雰囲気などについては私自身ではわからないところもあると思うので, 適宜私の研究室の大学院生・卒業生の方にコンタクトをとって尋ねてみるといいのではないかと思います.

研究環境

私の現在の主たる勤務先は

になっています.このほか,

で特任教授を兼任しています. 従って,意欲的な大学院生の方は複数のキャンパスで活動していただくことが可能になっており, 研究の進捗状況に応じて変化させていくことが可能です.物理学専攻の学生ならば,最初は授業も開講される 本郷キャンパスで活動し,研究が軌道にのったら柏キャンパスに出かけて研究の幅を広げるという方針は考えられます. また,通勤その他の事情に応じてある程度融通を持って対応することも可能です.

なお,講義・演習などは物理学専攻はそのほとんどが本郷キャンパス(数理科学研究科はそのほとんどが駒場キャンパス)で行われることを付記しておきます. 従って,大学院生の方は基本的に本郷キャンパスの素粒子論研究室において 活動していただくことになります.

本郷キャンパスは大学院の講義が開講されますし,同期の大学院生の数も多い活気のあるキャンパスなので, 大学院生にとっては特に魅力的なキャンパスではないかと思います. 物理学専攻には物理の分野全般にわたる専門家が多数在籍していて層が非常に厚いです. (本郷キャンパスには物理工学科などにも私の研究と関連した研究をしている方がいらっしゃいますし,直接研究に関係していなくても 講演会などのイベントも多いです.)また都内各所からの交通の便もよく,近隣の飲食店なども充実しています. 皆さんの好みにもよりますが,東京の都心にキャンパスがあることのメリットはやはり大きいのではないかと思います.

一方,柏キャンパスにあるKavli IPMUは(数理物理を含む)広い意味での「宇宙」に関連した世界的研究者が多数在籍しており, 国際色豊かな研究所で日頃の活動はほとんど全て英語で行われています. 住み慣れた日本にいながらにして,同時に日頃から国際的な環境で切磋琢磨できる素晴らしい環境かと思いますので,特に博士課程の学生の方には 魅力的な環境なのではと思います. カブリIPMUの名物として15時からのtea timeがあり,僕は他の分野の人ともよく雑談していますし, 過去には僕自身,tea timeの雑談に着想を得て数編の論文を書いています.

研究室の特徴

私の研究室には色々特徴があると思いますが,そのうちいくつかを挙げておきます.

(2025年度の物理学専攻の大学院入試では,東大本郷キャンパスにおいて超弦理論を主たる研究テーマとし,かつ 今後博士課程まで大学院生を受け入れている研究室は私の研究室だけだと思います.後述する素粒子論研究室や関連した物理学専攻の研究室では素粒子分野の教科書 (例えば,場の理論や超弦理論の教科書)の輪講などを行っていますし,関連したセミナーも定期的に開催されています.素粒子論や関連した数理物理の分野は予備知識も多く,研究を始められるようになるまでに時間がかかることも珍しくありません.こうした分野に腰を据えて取り組むことが可能な研究室になっています.)

(私の研究室は本郷の素粒子論研究室(素研)の一部として活動しており, 狭い意味での研究室を超えてより大きな単位での活動を行っています.大学院の研究室ではともすれば人間関係が限定されてしまうこともあるようですので,このように素研として活動を行っていることは大学院生の方にとっては利点なのではないかと思います.私自身も素研 の出身ですが,その時に素粒子現象論的な考え方に触れたことは,その後自分が同分野で研究をするときに大変役に立ちました. 素研には研究室の先輩となる大学院生・博士研究員も多数在籍して日常的に気軽に質問できる環境にありますし,何より優秀な同級生と切磋琢磨して成長することが可能な環境にあります.本郷の素粒子論研究室は,歴史的にも素粒子論やその数理の分野で優れた人材を輩出してきた歴史があります.)

(私の研究室では,これまでに東大の理学系研究科物理学専攻と数理科学研究科の両方から大学院生を正式に受け入れてた実績があります.そのような 研究室は,現在の東大の教員ではおそらく私だけだと思いますし,日本では珍しいのではないかと思います.分野の垣根を超えて研究すること,そしてそのような環境で学生を育てること,それは私の長年目標としてきたところです.)

(私は素粒子理論や数理物理をもともとの専門としていますが,純粋数学の諸分野に加えて物理学でも素粒子現象論,宇宙論,量子情報理論,統計力学,物性理論なども研究テーマとしてきましたし,研究手法も紙と鉛筆を用いた研究だけではなくスパコン/GPUを用いた数値計算,機械学習や量子コンピュータなどを用いた研究にも取り組んでいます.このように幅広く研究を行っている研究室は,世界的にみても珍しいのではないかと思います.大学院生の皆さんが実際に大学院在籍中に取り組む分野は現実的にはこれらの分野のうちごく一部になるでしょうが,私の研究室ではさまざまな分野の人材を受け入れてきましたし分野の垣根を超えた研究を推奨しています.大学院生の方にも幅広い分野に興味を持ってほしいと思っていまし,そのための機会を提供したいと考えています.)

(私は本郷の物理学教室の教員ですが,上述した通り柏のKavli IPMUにおいても引き続き研究活動を行なっていきます.どのキャンパスが自分に合うかは試してみないとわからないところもあると思いますし,進度に応じて居場所を変えていくのがいいかもしれません.上述した通り,私の研究室の大学院生は進度や希望に応じて異なるキャンパスでの研究活動を体験することが可能です.Kavli IPMUは国際的な環境ですのでそのよう環境を気軽に体験できるのは利点かと思います.)

2026年3月の研究室写真.

大学院生の研究指導について

大学院での研究の仕方は人それぞれ違うと思いますし個性はできるだけ尊重したいと思っていますので、僕自身は「大学院生の指導方針はXXXである」などのような方針を決めて固定して運用することはしていません.どういう方針で進めるかはその人の興味、個性、また私自身のその時の興味などに応じて臨機応変に対応したいと思っています。研究テーマの設定についても、 トピックを探すところから始めるのか、それとも私の既にあるテーマに近いところで始めるか、 また細かいところまで指導されることを好むか、それとも自分の好きに独立やりたいかなどは本人の希望に応じてその場その場で決めていくことを考えています。

そのような訳ですので、ある程度の自主性を持つことと、あとは日頃適宜フィードバックをもらえることが重要です。 なお、学部生の方が日頃接している大学の先生とは違って、私は研究所暮らしが長く典型的な学部生がどういう講義をとっているか、何を知っていて知っていないかなどについての基本的な感覚は十分ではありませんので、皆さんの暗黙の常識は通用しないかもしれません。自分が何を理解していて何を理解していないか,また何を希望する・しないかなどについてできるだけ正確にフィードバックしてくれると助かります。

素粒子論や関連した数学の諸分野では,基本事項や予備知識の勉強に時間を取られてしまうことも少なくなく,大学院に標準年限である5年間在籍したとしてもオリジナルの結果を発表できるかどうかは実はそれほど明らかではありません. 大学院に来てもらった以上,どんな形で卒業するにせよ,少しでも研究を行い創造する過程を経験してもらいたいと考えていますし,私はそのための手助けもしますが,実際には大学院での時間は想像以上に限られているので,指導教員としては色々気を揉むところもあります. 新しい成果を出すためには少しでも焦点を絞って考えを深め,毎日地道に研究を進めることが必要になりますので, 漫然に勉強するというよりはできるだけ早く具体的な問題意識を持って,小さくてもいいので自分なりの 研究に取り組むことを推奨したいとは思っています.

大学院出願

日本居住の方(多くは日本の大学に通われている方)が 私と一緒に大学院で研究するためには, 東京大学大学院理学系研究科物理学専攻(ほとんどの授業は本郷キャンパスで開講される) に出願していただく必要があります4.物理学専攻では大まかな分野の分類ごとにサブコースという 制度を利用しており,私は素粒子理論の教員としてA1サブコースに所属しています. なお,私はKavli IPMUにも所属していますが5, 大学院の出願に際しては理学系研究科物理学専攻経由で 出願していただくことになります.

物理学専攻では毎年入試前の時期に大学院志望者向けにガイダンスを行っていますし, 私自身も参加して個別の質疑応答も可能です.また,研究室見学も随時受け付けています.

東京大学大学院理学系研究科物理学専攻

大学院での指導教員について

私の大学院生には,他の教員とも積極的に交流することを推奨していますし,他教員との共同研究なども積極的に進めてもらって構いません. もっとも,大学院の時間が限られているのも事実ですので,大学院において研究を進めていく上では,一般論として,余裕ができるまではさしあたって実質的な指導教員が誰であるのかが重要になります.また,博士研究員やその後アカデミアで就職する際にも, 実質的な指導教員の推薦書等が重要になることもあります.このような理由で,大学院入学時の指導教員の選択はとても重要だということは言えると思います.

素粒子論研究室

東大の物理学専攻では素粒子理論(超弦理論,素粒子現象論など)の研究室が集まって素粒子論研究室(素研) https://www-hep.phys.s.u-tokyo.ac.jp/ を形成しており,私の研究室はその一部をなしています.本郷キャンパスの素粒子論研究室の歴史は古く, 私自身も大学院生の時にここで学びました.2026年4月現在,諸井教授,濱口教授および私の三名 がそれぞれ研究室を持っており,そのほか助教として三名の先生が在籍しています.研究テーマなどはそれぞれ教員ごとに異なりますが, 研究活動の一部は共同して行なっており,大学院生の居室では他の研究室の大学院生と交流する機会も多いです.

研究内容について少しコメント

私のこれまでの研究は素粒子理論,特に場の理論や超弦理論の 研究を中心にしてきました.これまでの研究内容では 特に数理物理的な内容のものが多かったですし, 私自身はそのような分野で専門家としてみなされていると思います. 今までの経験では,私のところに相談に来る学生の方も 数理的な内容に興味がある方がほとんどのようです.そのような学生の方はもちろん大歓迎です.

ただし,私自身の興味は数理的な内容に限定されるものではありませんし, 私の学生だからといって例えば超弦理論を勉強しなければ いけない(例えば,Polchinskiの超弦理論の教科書を読まなければいけない) というわけではありません.

一例として,私は近年素粒子現象論、宇宙論、物性理論や量子情報理論に関連した研究も行っています6し, 手計算だけではなくスパコンを用いるような大型数値計算を用いた研究も行っています.これらの分野では僕個人の興味は超弦理論に動機づけられていることが多いですが, その研究の実際において必要となる超弦理論の知識は必要最小限であることも多いです. 私自身がそのような分野で専門家として見なされているかどうかは分かりませんが, 超弦理論以外の分野でも私と一緒に勉強/研究してくれる意欲ある学生の方を歓迎します.皆さんの興味が私の興味とうまくマッチするかどうかは 個々のトピックについての各論が必要になるので,個別に相談に来ていただければと思います.

研究室での日常

大学院生の初年度は講義が中心となると思いますが,卒業に必要な単位数は多くはないので, 大学院生としての活動に講義そのものが占める割合はさほど高くありません.

修士課程の間は(例えば場の理論の)教科書の輪読も行なっており,これは教員と一緒に行うこともありますし, 学生同士で自主的に行うこともあります.

本郷の素粒子論研究室では基本的に毎週(1)研究室のメンバーによるランチトーク(2)内外からの講師によるセミナー を実施しており,これらに参加して最新の研究テーマについての理解を深めることができます.その他, 超弦理論と現象論のグループではそれぞれ定期的にミーティングを開催しています.これらの イベントの参加は任意ですが,研究の現状を知るため,新たな研究のアイデアを得るため, (また人にもよるとは思いますが生活習慣が乱れすぎないようにするため),参加を 推奨しています.こうしたセミナーの前後にはセミナーのスピーカーと昼食,夕食などに出かけて 親睦を深めることがあります.

この他,物理学専攻に限っても他の研究室でセミナーなどは数多く開催されていますし, 専攻としての談話会・コロキウムも開催されています.また,カブリIPMUにおいても 定期的に外部講師によるセミナー,内部でのランチミーティングなどが開催されています. また東大や関東圏では研究会・ワークショップも頻繁に開催されています. このように研究に関連したイベントは盛りだくさんな環境になっています.

素粒子論研究室では進学・卒業・就職などにともないメンバーもどんどん入れ替わってきており, 定期的に歓迎会・送別会などのイベントも開催しています. また物理学専攻でも時々食事会などが開催されており,親睦を深めることができるようになっています. セミナーなどのイベントがない時でも,研究室に来て他の学生・ポスドクの方と ざっくばらんに話すことは重要で,悩んでいる時でも息抜きになるかもしれませんし, また学生どうしでの共同研究に発展することもあります.

補足

FAQ

研究室見学の際に大学院生の方とお話しできますか?

はい研究室見学の時,あるいは別の機会に私の大学院生の方と直接話してもらって構いません. また現在私の学生はそれなりに多く在籍しています. ただ現在,私の学生は私がメインでいる東大の本郷キャンパスだけではなく 東大の柏キャンパス,駒場キャンパス,また和光にある理化学研究所などに 分散しており,また本郷キャンパスの学生は修士の学生が多いので 授業などの都合もありますので,皆さんが観測にいらした時に大学院生の方がいない可能性はあります. 毎年5月に物理学会では一斉進学ガイダンスを行っており,その時には 大学院生がいるようにアレンジする予定です.

研究のためにどんな数学が必要ですか?

数学に限らず,研究のためにどのような知識が必要になるかはどのような研究をするかによります. 私自身は比較的数学的な研究を得意にしていますが,高級な数学はほとんど必要でなくむしろ 物理的直観が重要な研究,あるいはプログラミングのような実務的な能力の方が重要な研究をしています.

ただし,学部生の方と私が話してきた印象だと,標準的な学部生の方が 学んでいるような数学的知識の大部分は, 直接的にせよ間接的にせよ ほとんど素粒子理論の研究に役立つと思ってもらってもいいので, あまり学びすぎを心配する必要はないように思います.(むしろ,足らない部分を その場で勉強できることの方が重要です.)

強いて一冊あげるならば,

理論物理学のための幾何学とトポロジー(中原幹夫著)

を眺めてもらえるとどんな数学が使われるのかイメージしやすいと思います. (この本の内容が必須というわけではありませんが.)

XXについて研究できますか?

この答えはXXが何であるかによります.ただ一般論として, 研究室によっては研究テーマやトピックがいくつかに絞られている研究室もあるようですが, 私の興味が広めであることもあり,研究室では研究テーマについてはかなり融通が効く方ですし, 必ずしも私が最初から皆さんの研究テーマを設定するわけではありませんし, 基本的に物理学や関連した数学であれば何を勉強・研究してもらっても構いません.ただし, 私個人の研究テーマから大きく離れば分野は私の全く興味のない分野だとどうしても私から有効な アドバイスをするのが難しくなってくるというのはありますので程度問題はあります. そこで実際には大雑把に皆さんが大雑把にどのようなことに興味があるかを聞いて, それを考慮に入れながらディスカッションを進めて研究テーマを設定するということになります. 皆さんの方から「できるだけ早く研究したい」「自分のペースでじっくり勉強したい」など 意思表示があればそれに合わせることは可能です・ 研究テーマを何に設定するかは非常に重要で,そこにセンスや力量が問われるところでもありますし やってみないとわからない側面もあるので,方針変更や試行錯誤が必要になることもあります.

研究室にコアタイムはありますか?

私の研究室では学生の方は自由なスケジュールで過ごしてもらっていますので,何時から何時までいなければいけないというルールはありませんし, 都合に応じて柔軟に予定を設定していただいて構いません.ただし,研究室のイベント(ランチトーク,セミナー,勉強会,研究会,合宿など)は 勉強になると同時に他の学生・研究者と交流する貴重な機会ですので参加は推奨されています.一般論として,大学院生になると授業などのスケジュールがなくなり,生活が乱れて研究生活に影響が出るケースも見受けられますので,イベントに定期的に参加することは 心身の健康のためにも重要かとは思います.

東大の外部から出願して不利ではないですか?外部生を受け入れていますか?

東大の学部以外から大学院から出願される方の中には、「外部」から出願して受け入れてもらえるか心配に思う方も少なからずいらっしゃるようです。実際には東大大学院には他大学の学部からも数多く進学されていますし、僕のところにも東大以外の学部からも学生を既に受け入れています7。一般論として大学院生の 多様性を担保することは重要だと思っていますので、他大学の学部生の方の応募は歓迎しますし、また国外からの留学生の応募も歓迎しています。また,いわゆる社会人を経験した学生・ポスドクも受け入れたことがあります.

博士課程からの進学,あるいは大学院途中での指導教員の変更について

大学院は標準的には少なくとも5年と長い期間ですので,在学中に興味が移り変わることもあると思いますし,様々な理由で指導教員を変更したいと思うこともあるかもしれません. このような場合に私が新たな指導教員になるかどうかはケース・バイ・ケースで判断しています(そのような例は過去にありました).

事務的には,同じ研究科・専攻の内部であれば,指導教員の変更は 新旧指導教員と学生本人の合意があれば可能だと思います.また東大物理学専攻では修士課程終了後,博士課程進学時にも入学審査を行っていますので,そこで 東大内で専攻を変更したり,また学外から東大に進学することは可能です.

但し,一般的に,新しい研究テーマについて適切なトピックを見つけて論文を書くまでには 時間がかかることが多いので,受け入れる側からすると大学院途中からの受け入れは 難易度が上がるのは確かです.従って,大学院途中での(特に博士課程途中での)指導教員の変更は, 既に何らかの研究を進めていて学位取得に心配がないという状態で,さらに研究の幅を広げたいという意味で 行うのが理想的かと思います.


  1. 東京大学理学系研究科物理学専攻教授,東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構特任教授.↩︎

  2. もっとも,私のこれまでの経験からの印象では, 自分の興味が何であるのか,大学院進学時点では非常に大雑把にしかわからないことの方が圧倒的に多いようです(例えば,「物性理論よりは素粒子理論をやりたいが,素粒子理論の中で何がやりたいかはまだわからない」といったように).このこと自体は何も問題ないと思いますし, 進路に柔軟性を持たせるメリットもあると思いますが, この場合でも自分なりに主体的に自分の進路や興味について考えておけば,今後大学院生活を送っていく上で活きてくるのではないかと思います.↩︎

  3. URLなどは将来的に変更になる可能性がありますが,私の名前で検索すれば出てくるようになっています.↩︎

  4. 大学によっては理学系研究科の中に物理学専攻と数学専攻が部分集合として存在していることもありますが, 東大では歴史的な経緯もあって,物理と数学は別の研究科に存在しています.大学院の所属先を物理から数学,あるいは数学から物理に正式に変更するためには 新たに試験を受けて別の大学院に入り直す必要があります.↩︎

  5. Kavli IPMUでの大学院についての情報は https://www.ipmu.jp/ja/research-activities/PhD-programsも参考にしてください.↩︎

  6. 例えば,量子コンピューターに関連して企業との委託研究も行っています.↩︎

  7. 具体的には例えば東京工業大学,早稲田大学.まだサンプルは少ないですが.↩︎