解説・論文一覧
半導体多層コンプトンカメラ (Semiconductor Multi Compton Telescope) とアクティブ対生成望遠鏡 (Active Pair Telescope)
ガンマ線領域の中で、数10 keVから数10 MeVのエネルギー領域は、X線や 、よりエネルギーの高いGeV領域のガンマ線にくらべて、観測が遅れています。そのため、日本のAstro-E2(アストロ E2)衛星(2005年打ち上げ予定)、ヨーロッパのINTEGRAL(インテグラル)衛星(2002年打ち上げ)、日本が貢献している国際協力ミッションのGLAST(グラスト)衛星(2006年打ち上げ予定)やSwift(スイフト)衛星(2003年打ち上げ予定)などのような、現在のガンマ線衛星を、超える能力を持った衛星が必要です。21世紀の高エネルギー天文学においては、この領域で、高い感度を持つ検出器、特に撮像能力を持った検出器を開発することによって、粒子の加速や、ブラックホール近傍の強い重力場からのガンマ線放射、未知の素粒子や原子核の現象を探るなど、これまで観測が及んでいなかった、新しい非熱的な宇宙を探ることが大きな目標となっています。
本研究室では、次世代のガンマ線検出器の鍵となる、高いエネルギー分解能と高い撮像能力を持つテルル化カドミウム半導体撮像素子の開発を、続けてきました。この素子を基本とすることで、スーパーミラーと呼ばれる硬X線領域の集光鏡のための焦点面検出器、新しい半導体コンプトン望遠鏡(SMCT)や、アクティブ対生成望遠鏡(APT)など、新しい概念に基づくsub-MeVおよびMeVガンマ線の検出器を実現することができます。この検出器は、コンパクトなMeVガンマ線検出器を実現するばかりではなく、これまで検出が難しかったガンマ線の偏光も精度良く測定できるという大きな特徴を持ちます。こうした検出器を、いち早く実現するために、われわれは、広島大学(深沢研)、大阪大学(能町研)、東京大学(牧島研)、スタンフォード大学線形加速器センター(釜江グループ)などと共同で研究を行い、「未開の地」を、いちはやく、切り拓こうとしています。そのために、2002年度から5年間にわたり、「特定領域研究:ブラックホール天文学の新展開」が認められ、本研究室は、計画研究の一つを進めることになりました。
(開発項目1)
超低バックグラウンド
コンプトンカメラ
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(開発項目2)
広視野CAPT
(Compton and Active Pair Telescope)
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(検出器開発)
気球搭載用CdTe/Si
コンプトンカメラ一号機 (2003)
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(気球による実証実験)
2003年9月3日17時35分放球
(三陸気球基地)
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解説 Review
- MeV/GeVガンマ線観測の過去・現在・将来
(
高橋忠幸
高エネルギー宇宙物理連絡会 21世紀COEプログラム「宇宙の物質と起源:宇宙史の物理学的解読」研究会、名古屋大学ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー、
2003/10/1-2、
収録 [PDF 1.4 MB]
Presentation [PDF 2.7 MB]
)
- X 線 ガンマ 線衛星からみた宇宙、そして素粒子
(
from
New direction of particle physics(TEA03)
--from theoretical, experimental and astrophysical aspects---
、湯川記念館(京都大学基礎物理学研究所)、
2003/10/15-17
[PDF 0.5 MB]
)
- Future Hard X-ray and Gamma-ray Observations (将来の硬X線・ガンマ線観測)
(
from
International Symposium on "New Century of X-ray Astronomy", Yokohama, 2001
ASP (Astronomical Society of the Pacific Conference Series), vol 251, pp. 210-213
) [PDF (896 kB)]
- Astro-E2衛星と硬X線・ガンマ線による宇宙観測の将来計画 View Graph
(
第49回応用物理関係連合講演会 (シンポジウム講演)(2002/03/29)
)
- 100 kg衛星と次世代検出器を用いた新しいガンマ線天文学
(
(
高橋忠幸、中澤和洋、尾崎正伸、
田島宏康、釜江常好、
能町正治、深沢泰司、
国分紀秀、宇宙科学シンポジウム、宇宙科学研究所、2003
[PDF (0.4 MB)]
)
論文 Compton Telescope
- Development of a Si/CdTe semiconductor Compton telescope
(
Takaaki Tanaka,Takefumi Mitani,Shin Watanabe,Kazuhiro Nakazawa,
Kousuke Oonuki, Goro Sato, Tadayuki Takahashi, Ken’ichi Tamura,
Hiroyasu Tajima, Hidehito Nakamura, Masaharu Nomachi, Tatsuya Nakamoto, Yasushi Fukazawa
Proc. SPIE, vol. 5501, in press, 2004
[PDF 1.5 MB]
)
- Wide band X-ray Imager (WXI) and Soft Gamma-ray Detector (SGD) for the NeXT Mission
(
T. Takahashi, A. Awaki, T. Dotani, Y. Fukazawa,
K. Hayashida, T. Kamae,
J. Kataoka,
N. Kawai, S. Kitamoto,
T. Kohmura, M. Kokubun, K. Koyama, K. Makishima,
H. Matsumoto, E. Miyata, T. Murakami,
K. Nakazawa, M. Nomachi, M. Ozaki, H. Tajima,
M. Tashiro, T. Tamagawa, Y. Terada,
H. Tsunemi, T.Tsuru, K. Yamaoka, D. Yonetoku,
and A.Yoshida, Proc. SPIE, 5488, in press, 2004
[PDF 0.70 MB]
)
- A Prototype Si/CdTe Compton Camera and the Polarization Measurement
(Takefumi Mitani,Takaaki Tanaka, Kazuhiro Nakazawa, Tadayuki Takahashi,
Takeshi Takashima, Hiroyasu Tajima, Hidehito Nakamura, Masaharu Nomachi, Tatsuya Nakamoto,
Yasushi Fukazawa,
IEEE Trans. Nucl. Sci., in press, 2004
)[PDF (0.3 MB)]
-
High resolution CdTe detectors for the next generation multi-Compton gamma-ray telescope
(
Tadayuki Takahashi, Kazuhiro Nakazawa, Tuneyoshi Kamae, Hiroyasu Tajima,
Yasushi Fukazawa, Masaharu Nomachi, and Motohide Kokubun, SPIE vol 4851, pp. 1228-1235,
2003)[PDF (1.4 MB)]
Last Update 2004/08/12
by T. Takahashi
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