次期X線衛星ASTRO-H Next X-ray Astronomy Observatory

はじめに

 
V
(2009年1月宇宙科学シンポジウムより)
宇宙は人類の歴史の中で、数えきれないほどの夢と謎で人々を引きつけてきました。一方、高度に科学が発達した現在、宇宙の謎はむしろかつてないほどに深まっています。近年、宇宙の膨張が、ほとんど理解不可能な暗黒エネルギーなるものに支配され、巨大ブラックホールが驚くべき宇宙現象の数々を引き起こし、地上では到底達し得ないほどの超高エネルギーをもつ粒子が未知の場所で生成されることがわかってきました。こうした謎への挑戦は、人類にとって新たな知の探求であり、究極的な技術と文化を人類にもたらすのです。

世界最高のエネルギー分解能を持ち、X線からガンマ線までの広大なエネルギー範囲を観測する衛星「ASTRO-H」は、宇宙のダイナミックな進化と非熱的物質を含めたエネルギー集中過程の解明を目指すものです。高温ガスの運動を捉え、宇宙の進化をリアルタイムの映像として明らかにし、超広帯域の観測とも合わせることで、ダイナミックな宇宙の進化の真の姿が初めて明らかにされるのです。ASTRO-Hの研究は、こうした研究を通じて、現在の宇宙論における大きな謎である、宇宙を満たす“暗黒エネルギー”の本質の追求にもつなげることをめざします。

本研究室は、ASTRO-H衛星搭載の検出器開発、特に軟ガンマ線検出器 (SGD)、硬X線イメージャー (HXI)に深く関わっています。また、ASTRO-H衛星全体についても、プロジェクトの推進の中心メンバーとなっています。