高エネルギー天体物理学 High Energy Astrophysics

数100万度から数億度に達する信じがたいほど熱い天体や激しく活発な活動をしている天体は、目には見えないX線やガンマ線で輝いています。宇宙の物質の8割以上は、X線でなければ見ることができないとすらいわれています。

また、最近、 電波・X線・ガンマ線の観測が進むにしたがって、ほとんど光の速さにまで加速された荷電粒子が宇宙のいたるところに存在することが明らかになってきました。こうした高エネルギー粒子の加速は、超新星爆発から、銀河、銀河団、そしてブラックホールから吹き出すジェットにいたるまで、さまざまな環境で見られる宇宙の普遍的な現象であると考えられるようになっています。この事実は、宇宙のエネルギー全体を考えるときに、われわれがこれまで考えていた熱的なエネルギーとは異なり、加速された粒子のように、非熱的な形態をとるエネルギーが大きな役割をはたしていることを示唆します。

「すざく」衛星や、今開発が進む「ASTRO-H」衛星に搭載された最先端観測装置が探るものは、銀河団の中に渦巻く高温ガスの激しい動きであり、銀河団を貫く宇宙ジェットが銀河団の進化に及ぼす影響です。 X線やガンマ線は、宇宙がどのように進化して、今ある宇宙になったのかの謎を知る上で、極めて重要な観測手段です。