Swift Mission

Swift Mission (Gamma-ray Burst Detection)

 
打ち上げに成功しました(2004年11月20日)
近況:ガンマ線バーストの検出がはじまりました。(2004年12月19日)

近況:Swift衛星のデータが即時公開のフェーズに移行しました(2004年4月5日)
近況:検出したガンマ線バーストが一覧表になっています(2005年4月)
近況:SGR 1806-20からの巨大フレアの論文がNature誌に掲載されました。(2005年4月28日)
近況:Swift衛星がはじめて ショートバーストの位置決定に成功し、Nature誌に掲載されました。(2005年10月06日)


近況:ロッシ賞が ガンマ線バースト探査衛星「スウィフト(Swift)」のチームに 与えられました。(2007年1月)
ISAS

ISAS/JAXA
国際共同研究
International Collaboration

Swift Mission

Swift
Swift Swift衛星の完成写真(2004年2月)

Swift (ランチャーの中に据え付けられた打ち上げロケット 2004年11月16日)
Swift (打ち上げの日の朝 2004年11月20日 (NASA KSC))

 Swift衛星は、ガンマ線バーストと呼ばれ、宇宙で最大の爆発現象の謎を探るために開発された国際ミッションです。JAXA宇宙科学研究本部・高橋研究室、埼玉大学・田代研究室は、東京大学・牧島研究室とともに、2000年より、Swift衛星プロジェクトに参加してきました。中でも、ガンマ線バーストを検出し、その位置をすばやく計算することによって、衛星全体を ガンマ線バーストの方向に向けるために必要な、大面積ガンマ線検出器Burst Alert Telescope (BAT)の開発に携わってきました。


JAXA宇宙科学研究本部は Key Associate Institutionとして、日本側の活動をまとめています。

 Swift衛星は、打ち上げ後、正常動作が確認された後、三日に一回程度期待されるガンマ線バーストを検出するために運用が行われます。発見されたガンマ線バースト天体の位置情報や明るさなどは、直ちに地上に転送され、世界中の天文台に通報されます。また、取得したデータは、直ちに全世界の研究者に公開され、天文学の最大の謎の一つである「ガンマ線バースト」の研究を一致して行うことになっています。

Swift衛星は、2004年11月20日12時10分(現地時間、日本時間21日午前2時10分)、デルタIIロケットにより、ケネディ宇宙基地から打ち上げられる予定です。[うち上がりました。12時16分00.617]

近況


Swift Swift Swift
Swift Swift Swift
Swift Swift2 Swift
NASA TV

解説

ガンマ線バーストは数秒から数十秒の間に膨大なエネルギーをガンマ線領域を中心とする電磁波として放出する現象です。50キロ電子ボルトから300キロ電子ボルトの領域で、最も明るく輝く天体のフラックスは、毎秒検出器の1平方センチメートルあたり100カウント以上にも達し、瞬間的にですが、明るいガンマ線源として知られるかに星雲のカウントさえ、はるかに上回ります。この現象は1968年に地上の核実験を監視するために打ち上げられたヴェラ衛星によって発見されて以来、謎に包まれていました。コンプトン衛星のBATSE検出器は打ち上げ以来、2000を超えるガンマ線バーストを記録し、その発生場所が全天に一様に分布する事を明らかにしました。

1997年にはいると、ガンマ線バーストの研究は急展開を示します。イタリアのX線衛星Beppo SAXは、自らのガンマ線バーストモニターと広視野X線カメラを元に、はじめてバースト源の位置を正確に決める事に成功したのです。位置が決まれば、ケック望遠鏡、すばる望遠鏡など、地上の可視光や赤外線の望遠鏡、あるいはやハッブル望遠鏡のような宇宙の望遠鏡がさらに詳しく追加観測を行って対応天体を調べる事ができます。その結果、こうしたガンマ線バーストの発生源が、われわれの銀河からはるかに離れた所にあり、距離を推定すると70億光年から110億光年にもなることがわかってきました。これほど遠方の現象であるにもかかわらず、非常に高いフラックスをもたらすということは、発生したエネルギーが極めて大きい事を示します。ガンマ線バーストの正体は、依然謎のままですが、宇宙の初期に巨大ブラックホールが形成される瞬間をとらえているという説もあり、まさに日進月歩の勢いで研究が進んでいます。現在も、日米共同の監視衛星HETE2が、軌道上で活動中です。

Swift 衛星は、ガンマ線バーストの監視だけでなく、 自動追尾まで行なう初めての衛星です。Swift衛星には、BAT (Burst Alert Telescope)と呼ばれ、10keVから150keV程度に感度を持ち、全天の約6分の1をカバーする広い視野のガンマ線撮像検出器が搭載されています。この検出器は、ガンマ線バーストが視野内に発生するのを常時監視し、発見後ただちに、その位置を衛星上の計算機で計算し、数分の角度分解能で位置を求めることができます。 この位置情報を元に、20秒から70秒以内に衛星全体をバースト源に向け、一緒に搭載されている紫外線、光、X線の望遠鏡を用いて観測を行なって、最終的には、バースト源の位置を0.3-2.5秒角という、極めて高い分解能で決定することができるのです。X線望遠鏡(XRT)はX線CCDを焦点面検出器として持ち、1万秒の観測で1マイクロCrab(2 x 10^(-14) erg/cm2/s) のX線強度を持つ天体を、また、紫外線可視光望遠鏡(UVOT)は、千秒間の観測で24等の明るさの天体を検出することができます。Swift衛星は、ガンマ線バーストの位置を、正確に与えると同時に、紫外線から、X線、そしてガンマ線にいたる範囲で、スペクトルがどのように変化していくかを調べ、ガンマ線バーストの正体や、その周りの環境を探ることになっています。


これまでの経緯

Swift
Swift衛星(概念図)(NASA/GSFC)。日本からは JAXA宇宙科学研究本部高橋研究室、埼玉大学田代研、 東京大学牧島研が参加。



Swift
Swift衛星の完成予想図(NASA/GSFC)。


BAT
試験中のBAT検出器(NASA/GSFC)。


Swift (集合写真 2002年8月) Lauch (打ち上げ 2004年11月20日 (by Y. Okada))
  • 2000年3月よりCdTe/CZTの開発技術を元にBAT検出器チームに参加。
  • 2000年7月よりBAT検出器開発のため、現地滞在(2002年まで)。
    • 小澤 秀樹1(宇宙科学研究所COE研究員 (当時))
  • 2002年4月より、 BAT検出器フライトモデル、キャリブレーションのため学生を中心に現地出張
    • 第一陣:佐藤1 (April/13,2002-Feb. 2003)
          岡田3 (April/13-Aug.14/2002)
    • 第二陣:渡辺1 (May/24-June/18,2002)
    • 第三陣:岡田3 (June/10-Aug,2002)
    • 第四陣:鈴木2 (July/31-Dec/7,2002)
    • 第五陣:高橋(弘)3 (Sep -Dec/29,2002)
    • 第六陣:岡田3、鈴木2 ( Feb/2003-Mar/2003)
    • 第七陣:佐藤1 (April/05-April/12,2004)
    • 第八陣:佐藤1、鈴木2 (Oct/2004-現在に至る)
    1) 高橋研、2) 田代研、 3) 牧島研


    「BAT検出器は、順調に製作が進んでおり、2003年1月からコーデッドマスクと組み合わせた 全体試験が、そして2003年4月から衛星本体に組み付けた最終試験が計画されています。 われわれは、これまでGSFCでのキャリブレーションに参加すると同時に、独自に開発した CZT検出器の特性評価ソフトウェアを用いた解析を行い、応答関数の構築、検出器の シミューレーションプログラムの開発を行って来ました。(2003年1月記)」

  • Science Working Group Meeting
    • ペンステート大学 (USA) (2001)
      古宇田、佐藤、小澤、田代、高橋
    • レスター大学 (UK) (2001)
      古宇田、田代、高橋
    • NASA/GSFC (2002/Feb)
      佐藤、小林、高橋
    • NASA/GSFC (2002/Aug1-2)
      佐藤、岡田、鈴木、国分、田代、高橋
    • NASA/GSFC (2002/Dec 5-6)
      佐藤、高橋(ひ)、鈴木、玉川、高橋
    • ペンステート大学 (USA) (2003/April)
      佐藤、中澤
    • ペンステート大学 (2003/Sep 22)
      高橋(Swift運用会議)
    • NASA/GSFC (2003/Oct 19-25)
      佐藤、鈴木、田代
    • NASA/GSFC (2004/Feb 19-21)
      佐藤、鈴木、田代
    • ペンステート大学 (2004/Sep)
      田代(Swift BA Master Training Workshop)
    • New Orleans(2004/Sep 7) 中澤

  • 論文、国際会議等発表

    • The Swift Gamma-Ray Burst Mission
      (N. Gehrels et al., ApJ, ,611, pp. 1005-1020,2004)
    • Development of a Spectral Model Based on Charge Transport for the Swift/BAT 32K CdZnTe Detector Array
      ( Goro Sato, Ann Parsons, Derek Hullinger, Masaya Suzuki, Tadayuki Takahashi, Makoto Tashiro, Kazuhiro Nakazawa, Yuu Okada, Hiromitsu Takahashi, Shin Watanabe, Scott Barthelmy, Jay Cummings, Neil Gehrels, Hans Krimm, Craig Markwardt, Jack Tueller, Ed Fenimore, David Palmer, Nucl. Instr. Meth. A, in press, 2004 [PDF 3.9 MB] )
    • Data Processing of Burst Alert Telescope onboard the Swift satellite
      ( H. Takahashi,Y. Okada, G. Sato, K. Nakazawa, T. Takahashi, S. Watanabe, M. Suzuki, M. Tashiro, S. Barthelmy, J. Cummings, N. Gehrels, D. Hullinger, H. Krimm, C. Markwardt, A. Parsons, J. Tueller, E. Fenimore, D. Palmer, in New Horizon of the Gamma-Ray Burst Astronomy, Wako, Japan, 2004 [PDF 0.16 MB] )
    • Ground calibration of Burst Alert Telescope aboard Swift
      (Y. Okada, H. Takahashi, M. Suzuki, G. Sato, M. Tashiro, K. Nakazawa, T. Takahashi, S. Watanabe, S. Barthelmy, J. Cummings, N. Gehrels, D. Hullinger, H. Krimm, C. Markwardt, A. Parsons, J. Tueller, E. Fenimore, D. Palmer, in New Horizon of the Gamma-Ray Burst Astronomy, Wako, Japan, 2004 [PDF 0.75 MB] )
    • Energy response of CdZnTe detectors in the BAT onboard Swift satelite (M. Suzuki, Y. Okada, G. Sato, H. Takahashi, M. Tashiro, K. Nakazawa, T. Takahashi, S. Watanabe, S. Barthelmy, J. Cummings, N. Gehrels, D. Hullinger, H. Krimm, C. Markwardt, A. Parsons, J. Tueller, E. Fenimore, D. Palmer, in New Horizon of the Gamma-Ray Burst Astronomy, Wako, Japan, 2004 [PDF 0.73 MB] )
    • GRB observations with Astro-E2 in the Swift Era
      ( Makoto Tashiro, in New Horizon of the Gamma-Ray Burst Astronomy, Wako, Japan, 2004 [PDF 0.54 MB] )
    • Swift/BAT calibration and the estimated BAT hard x-ray survey sensitivity
      ( Ann Parsons, Jack Tueller, Hans Krimm, Scott D. Barthelmy, James Cummings, Craig Markwardt, Derek Hullinger, Neil Gehrels, Ed Fenimore, David Palmer, Goro Sato, Kazuhiro Nakazawa, Tadayuki Takahashi, Shin Watanabe, Yuu Okada, Hiromitsu Takahashi, Masaya Suzuki, Masaya, Makoto Tashiro, Hard X-Ray and Gamma-Ray Detector Physics V , SPIE, 5165, pp. 190-200, 2003 )
    • Properties of CdZnTe detectors in the burst alert telescope (BAT) array,
      ( Goro Sato, Tadayuki Takahashi, Kazuhiro Nakazawa, Shin Watanabe, Makoto Tashiro, Masaya Suzuki, Yuu Okada, Hiromitsu Takahashi, Ann Parsons, Jack Tueller, Hans Krimm e, Scott Barthelmy, Jay Cummings, Craig Markwardt, Derek Hullinger, Neil Gehrels, Ed Fenimore, David Palmer, Tony Dean, and Dave Willis, Hard X-Ray and Gamma-Ray Detector Physics V , SPIE, 2003, in press [PDF 0.95 MB] ) )