科学 & 社会

科学技術社会論

Yokoyama Group, Kavli IPMU / III UTokyo

横山広美 / 国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構 / 学際情報学府 / 東京大学

東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)の科学技術社会論グループ(研究室)のサイトです。学際情報学府、文化・人間情報学コースを兼務しています。科学と社会に関連する問題、特に科学と政治、AI等の倫理、数物ジェンダー、オープンサイエンス、大型科学などに注目をしています。学生の方は、広く科学と社会、政策に関連する内容で研究活動を行っています。


研究プロジェクト:AI等の倫理

セコム科学技術振興財団特定領域ELSI領域 SECOM

AI,ゲノム編集等先進科学技術倫理指標の作成"Score EISI" 研究期間: 2020年1月 - 代表者: 横山広美

先端的な科学技術の社会実装においては、ELSI(倫理的・法的・社会的な課題)と呼ばれる社会との接点における課題に取り組む必要があります。本ププロジェクトは主にAIのELSIをスコア化する試みです。

関連提言

  • 2020年 日本学術会議 「人の生殖にゲノム編集技術を用いることの倫理的妥当性について」

  • 中核テーマ:数物ジェンダー

    科学技術イノベーションのための科学 Ristex 詳細 »

    科学技術振興機構 社会技術研究開発センター 政策のための科学 Ristex: 研究期間: 2017年10月 - 2020年9月 代表者: 横山広美

    日本は理系の女子学生割合が低い状態が続いています。中でも、物理系の女子学生割合は17%と生物系の40%と比較して低い割合が続いています。 これはなぜなのか、文化的、社会的要因からエビデンスを探る研究プロジェクトを推進しています。

    政策化

  • 2019/12 文科省・人材委員会での発言が元になり、工学や数物でのダイバーシティ支援の「特性対応型」予算が新たに設けられました。
  • 主な論文

  • 一方井祐子・井上敦・南崎梓・加納圭・マッカイユアン・横山広美(in press).STEM分野に必要とされる能力のジェンダーイメージ:日本とイギリスの比較研究, 科学技術社会論研究.
  • 能力論文:

  • 井上敦・一方井祐子・南崎梓・加納圭・マッカイユアン・横山広美(in press).高校生のジェンダーステレオタイプと理系への進路希望, 科学技術社会論研究.
  • 高校生性役割分担意識論文:

  • Ikkatai, Y., Inoue, A., Minamizaki, A., Kano, K., McKay, E. and Yokoyama, H. M.(2021) ‘Masculinity in the public image of physics and mathematics: a new model comparing Japan and England’. Public understanding of science,https://doi.org/10.1177/09636625211002375,リンク,日本語プレス,英語プレス
  • モデル論文:日本に根強い数学や物理学の男性的イメージを説明する新モデルを提案し検証した。物理などの分野を大学で学ぶ女性が少ない要因を3つにまとめた先行研究を利用し、本研究ではさらに要因4 (性役割についての社会風土) を加えて男性的イメージを測定した点に新規性がある。新モデルに基づいて、インターネット調査を実施した結果、要因1の 「職業」、「数学ステレオタイプ」、「頭が良いイメージ」 が数学や物理学の男性的イメージに影響することに加え、要因4の要素のうち、「女性は知的であるほうがよい」ことに否定的な人ほど数学に対して男性的イメージを持つことがわかった。

  • Ikkatai, Y., Minamizaki, A., Kano, K., Inoue, A., McKay, E. and Yokoyama, H. M.(2020). ‘Masculine public image of six scientific fields in Japan: physics, chemistry,mechanical engineering, information science, mathematics, and biology’. JCOM 19 (06), A02. https://doi.org/10.22323/2.19060202. リンク,日本語解説
  • キーワード論文:STEMのイメージはどのようなキーワードで構成をされ、それらのジェンダーイメージはどの程度なのだろうか。本研究では、オンライン調査によって、科学の 6 つの分野(物理学・化学・機械工学・情報科学・数学・生物)に対して日本人が持つ代表的なキーワードと、各分野のジェンダーイメージを調べた。その結果、たとえば物理学はガリレオ、アインシュタインなどの人物名のほか、力学、電磁場、相対性理論などの言葉が選ばれた。さらに日本の人は6 つの分野に対して男性的イメージを持つこと、また平等主義的態度が低い人ほど特に物理学・化学・生物学に対して男性的イメージを強く持つことが分かった。

  • Ikkatai, Y., Minamizaki, A., Kano, K., Inoue, A., McKay, E. and Yokoyama, H. M.(2020). ‘Gender-biased public perception of STEM fields, focusing on the influence of egalitarian attitudes toward gender roles’. JCOM 19 (01), A08. https://doi.org/10.22323/2.19010208. リンク,日本語解説
  • 一般イメージ論文:STEM を含む 18 分野に対するジェンダーイメージを測定した。学術分野に対する性別適正のイメージについて、女性は看護学、男性は機械工学に向いているというイメージが強く、性役割に対する平等主義的態度のレベルが低い回答者ほど、看護学が女性に向いている、STEM(科学・技術・工学・数学)に関する分野は男性に向いているという傾向が見られた。

  • Ikkatai Y.,Inoue A., Kano K., Minamizaki A., McKay E., & Yokoyama H.M.(2019). Parental egalitarian attitudes towards gender roles affect agreement on girls taking STEM fields at university in Japan’.International Journal of Science Education , 41(16), 2254-2270. リンク,日本語プレス,英語プレス
  • 親論文:娘を持つ親を対象に、学術分野によって支援の差があるかを研究した。調査対象はすでに大卒の女性を育てた親であり、彼らは女性の理系進学に協力的であり、分野では薬学についで情報科学への賛同が多いことがわかった。情報科学は女性が極めて少ない分野であるが、就職が大変良いことを反映した結果であると見ている。また、男女平等意識の低い親は、女性の大学進学に否定的であることもわかった。


    中核テーマ:科学的助言

    科学者の社会的責任の重要なひとつが、科学的知見を透明性をもって発信し社会が活用しやすいようにすることです。その際には信頼が重要です。 社会の公共性に資するため、政治的責任と科学的責任の間をどう情報発信をするか、「グループボイス」概念を提案しました。

    キーワード

    COVID-19、東日本大震災、低線量被ばく、信頼、情報発信、リスク

    関連提言

  • 2019 文部科学省 第6期計画に向けた科学コミュニケーション
  • 2019 文部科学省 今後の科学コミュニケーションについて
  • 2018 文部科学省 人文と自然科学の連携
  • 2016 【提言】震災後の「スキル・専門性・感情」の3つの壁
  • 2012 【提言】緊急時の科学者の助言のあり方「グループ・ボイス」
  • 主な論文

  • Igarashi, Y., Mizushima, N. and Yokoyama, H. M. (2020). ‘Manga-based risk communication for the COVID-19 pandemic: a case study of storytelling that incorporates a cultural context’. JCOM 19 (07), N02. https://doi.org/10.22323/2.19070802.リンク
  • 日本のコロナ渦で、人気漫画「ちはやふる」の作者と新型肺炎サイコムフォーラムが協働し、感染予防や自粛警察の問題を背景にジェンダーの課題等、多様な背景を持つ人への想像を促すメッセージを発した。多岐にわたる専門分野の研究者が集うフォーラムを活用して、科学的助言をまとめる作業は作品の人気と作者の卓越した言葉と共にSNSから波及した好事例となった。

  • Yokoyama H.M.,(2019). Proposal for Group Voice: Going beyond the Limits of One voice and making information provided by scientists available to the public in emergency situations. Cambridge university press, 271-277. リンク
  • 東日本大震災の後、広く異なる分野の研究者が集まり、科学的助言をひとつの声、ワンボイスにまとめあげることは迅速性に困難があった。ワンボイスで選択の余地が狭まる危険性があり、状況によってマルチボイスを妨げる必要性は必ずしもない。SNSには大量の玉石混交の情報が流れている。その中で迅速に信用できる科学的助言を発出する必要がある。情報の質を担保するため、相互チェックが可能な専門を同一するグループによって行うが好ましい。これを「グループボイス」と名付けてその概念を提案した。

  • 中谷内一也, 長谷和久, & 横山広美, (2018). 科学的基礎知識とハザードへの不安との関係,心理学研究,89(2),171-178.リンク
  • 日本においても、科学リテラシーは不安の大部分を説明することができないと、所謂「欠如モデル」を定量的に検証した。

  • 一方井祐子, 横山広美 ,(2016). 東日本大震災後、科学コミュニケーターは何ができたのか,科学技術コミュニケーション,19,57-70.リンク
  • 東日本大震災の後、科学コミュニケーターの活動が限定的であるとの批判があった。職業的科学コミュニケーターを調査したところ、批判は妥当とする人が8割を超え、活動に限界を感じた人は5割にのぼった。その主な理由は、リスクコミュニケーションのスキル不足、通常扱っている専門性と異なる科学であったと、感情の波が激しい中で発言することが困難であること、つまり「スキル・専門性・感情」の3つの壁があったことを明らかにした。

  • Nakayachi K., Yokoyama H.M., & Oki S., (2015). Public anxiety after the 2011 Tohoku earthquake: fluctuations in hazard perception after catastrophe. Journal of Risk Research,18(2), 156-169. リンク
  • 東日本大震災の後の2012年、人々の不安が2008年と比較して高まったのは原発事故、地震、そして年金問題だった。他の多くのハザードは、以前よりも不安が低くなった。

  • Tateno S., Yokoyama H.M. ,(2013). Public anxiety, trust, and the role of mediators in communicating risk of exposure to low dose radiation after the Fukushima Daiichi Nuclear Plant explosion. Journal of Sicence Communication,12(02),A03. リンク
  • 東日本大震災の後、子育て世代の低線量被ばくについての不安は、知識不足よりも、誰を信じて良いかわからないから、政府不信から来ていることを明らかにした。また、関東や関西と比較して福島の女性に不安度が高いことを明らかにし、その背景を議論した。


    中核テーマ:オープンサイエンス

    インターネット、ソーシャルメディアにおける科学とコミュニケーション、信頼に関する研究を行っています。 特に、ピアレビューと呼ばれる専門家の審査を経ないで研究が行われるクラウドファンディングを例に、科学を認定する仕方(Boundary work)がどのように変容するか、クラウドファンディングにおける様相について議論をしています。

  • 2015年科学技術社会論学会研究奨励賞テーマ: 科学のクラウドファンディングの可能性と課題
  • キーワード

    SNS, 小公共圏, 信頼, Boundary work, budged community

    主な論文

  • 一方井祐子,ユアン・マッカイ,& 横山広美,(2018).日本の研究者たちは何を重視してクラウドファンディングへの支援を呼びかけたか : 第4のファンディングの可能性,科学技術コミュニケーション, 24巻, 55-67. リンク
  • クラウドファンディングを研究資金として活用する研究者は、これを新たな科学技術のパトロネッジ(”第4のファンディング”と名付けた)と位置付け、また研究のアピール、研究の面白さを伝えることに重点を置いていることがわかった。(2015年科学技術社会論学会研究奨励賞テーマ: 科学のクラウドファンディングの可能性と課題)

  • Ikkatai Y., McKay E., & Yokoyama H.M.,(2018). Science created by crowds: a case study of science crowdfunding in Japan. Journal of Science Communication,17(03), A06.,リンク,日本語解説
  • ピアレビューを受けずに社会から支援を受ける科学のクラウドファンディングは、新しいタイプの「クラウドが支援する科学」(“crowd-supported science”と名前をつけた)を生み出す可能性があることを指摘した。同時に、クラウドファンディングのプロセスに注目をし、政府予算を得るためには通常行われる予算付けのための審査(例:科研費の審査)がないことに注目をした。科学論では論文化をする際の「ジャーナル共同体」が専門か否かを判別する重要な機能として論じられてきたが、これに加えて、予算を配分する時点での「予算共同体」("Budget-funding Community"と名前を付けた)が従来の研究プロセスでは重要な役割を果たしていることを指摘した。(2015年科学技術社会論学会研究奨励賞テーマ: 科学のクラウドファンディングの可能性と課題)


    中核テーマ:大型科学

    ビッグサイエンス、メガサイエンスの合意形成と政策を国際リニアコライダー計画ILCほか、物理系プロジェクトを例に研究をします。 しかしコミュニケーションという文脈、あるいは政策的合意形成では課題も多い現状で、研究テーマとしても多くのすべきことがあると思っています。

    キーワード

    基礎科学、支援、政策、合意形成(素粒子実験等物理系巨大実験、宇宙開発、海洋開発等)

    関連提言

  • 文部科学省 国際リニアコライダー有識者会議 2018, 2017,2016,2015
  • 2015 【提言】SSCの失敗に学ぶ 国際リニアコライダー誘致議論
  • 文部科学省 学術研究の大型プロジェクトの推進に関する基本構想 ロードマップの策定 2017, 2014, 2012,2010 ロードマップ策定
  • 主な論文

  • 横山広美 (2013).ビッグサイエンスをいかに進めるべきか : 科学コミュニケーションの立場から(<特集>今後の学術情報流通), 情報の科学と技術, 63(11), 464-469,リンク
  • Yokoyama H.M., Nakayachi K.,(2014). Public judgment on science expenditure in the national budget of Japan: An experimental approach to examining the effects of unpacking science.Public understanding of science,23(5), 610-626.リンク
  • 学生時代、主な物理学の論文
  • "Measurement of Neutrino Oscillation by the K2K Experiment" K2K Collaboration, (2006), Phys.Rev. D74,リンク
  • "Evidence for muon neutrino oscillation in an accelerator-based experiment" K2K Collaboration, (2005), Phys.Rev.Lett. 94,リンク
  • "Search for electron neutrino appearance in a 250 km long baseline experiment" K2K Collaboration, (2004),Phys.Rev.Lett. 93,リンク
  • "Indications of neutrino oscillation in a 250 km long baseline experiment" K2K Collaboration, (2003),Phys.Rev.Lett. 90,リンク
  • "Tracking performance of the scintillating fiber detector in the K2K experiment" K2K Collaboration,(2003), Nucl.Instrum.Meth. A497,リンク
  • "Detection of accelerator produced neutrinos at a distance of 250-km " K2K Collaboration,(2001), Phys.Lett.B 511 178-184,リンク