すばるPFSによるサイエンス検討会

2015年7月9日-11日, 国立天文台三鷹キャンパス大セミナー室

About this workshop

 すばる主焦点超広視野多天体分光装置 (Prime Focus Spectrograph -- "PFS") は、東大カブリIPMUを中心に、国立天文台、カリフォルニア工科大学、NASA JPL、Princeton 大学、Johns Hopkins 大学、マルセイユ天体物理研究所(LAM), 台湾天文及天文物理研究所(ASIAA)、サンパウロ大学(USP)及びブラジル国立天文台(LNA)、マックスプランク宇宙物理学研究所(MPA)の国際協力により開発が推進されている、すばるの次世代共同利用装置の一つです。PFSは、2020 年代にもすばる望遠鏡が世界の第一線級の共同利用施設であり続ける上で戦略的にも大変重要な装置と位置づけられています。予算状況もかなり改善され、現在、装置開発は設計の最終段階から製作、組み上げへと移行する重要なフェーズを迎えています。

 これと並行してサイエンス面でも、PFSで最大限ユニークな成果を挙げ様々な科学目標を達成するために必要な準備研究、サーベイ計画の検討を詳細に行っています。これらは国内外の研究者による強力な推進体制のもと行うことが不可欠ですが、PFS の国際共同計画としての性格上、PFS計画発足当時(2011年頃)を除きこれまでは海外で会議を開催することが多かったため、国内の研究者に対する PFS 計画の周知や計画への参加の呼びかけが十分でないのが現状です。そこで、PFS計画が重要なフェーズにあることを踏まえ、国内のより多くの天文学者にPFS 計画の議論に関与して貰い、ボトムアップ的にPFSで可能なサイエンスを議論する場を持つべく本研究会を開催します。会議では、PFS 計画の現状を紹介した上で招待講演、一般講演を頂き、可能なサイエンスの検討や、サーベイ計画、運用計画を洗練していく上で必要な検討課題の洗い出しと今後の対策、展望について、集中的に議論したいと思います。日本が中心になって進めているHyper Suprime-Camイメージングサーベイとの相乗的なサイエンスも検討・議論する予定です。

 すばる望遠鏡の観測時間を長期にわたり大々的に投資するすばる戦略枠 PFS サーベイは、日本人研究者が中心になって海外の共同研究者と協力し、確実に成功させる必要があります。PFSによる戦略枠サーベイは2019年頃の開始を予定していますが、この研究会を契機に、今後より多くの国内の天文学者がPFSサーベイに参加し、計画を牽引していくことを期待します。参加希望の方は、下記フォームに必要事項を記入の上、指定メールアドレスにお申し込み下さい。大学院生、若手研究者の積極的な参加を期待します。

本研究会は「国立天文台国内研究集会」のサポートを受けています。

Program

7月9日(木):

< session 1 PFSプロジェクトの紹介>

10:30 - 11:00
村山斉  (カブリIPMU)
PFSプロジェクトの概要
11:00 - 11:40
田村直之 (カブリIPMU)
PFS装置の概要
11:40 - 12:10
矢部清人 (カブリIPMU)
PFS装置の性能評価
12:10 - 12:30
議論
 

昼休み (60分)

13:30 - 14:15
高田昌広 (カブリIPMU)
PFS戦略枠観測の概要(15分議論)

< session 2 宇宙論関係 >

14:15 - 14:45
鈴木尚孝 (カブリIPMU)
Precision Cosmology with PFS in 2020s [招待講演]
14:45 - 15:05
斎藤俊  (カブリIPMU)
Toward robustly extracting cosmological signals from PFS: Lessons from BOSS
15:05 - 15:25
杉山尚徳 (カブリIPMU)
kSZ効果から探るダークエネルギー

15:25 - 15:30
休憩
 

< session 3 銀河形成進化関係 >


15:30 - 16:00
長尾透  (愛媛大学)
PFSによる輝線診断で切り拓く銀河と活動銀河核のサイエンス [招待講演] 
16:00 - 16:30
松岡良樹 (国立天文台)
国内AGN研究者からPFSへの期待、観測提案 [招待講演] 
16:30 - 17:00
大内正己 (東京大学)
PFSで探る宇宙再電離と銀河形成 [招待講演] 
17:00 - 17:30
太田耕司 (京都大学)
PFS銀河サーベイへのコメント [招待講演] 

18:00-20:00
懇親会@コスモス会館食堂
 


7月10日(金):

09:00 - 09:30
秋山正幸 (東北大学)
PFSで探る超大質量ブラックホールの成長史 [招待講演]
09:30 - 10:00
児玉忠恭 (国立天文台)
PFSで探る銀河・銀河団の進化 [招待講演]
10:00 - 10:30
山田亨  (東北大学)
PFS広視野分光サーベイと銀河形成進化研究:スペース広視野計画とのシナジー [招待講演]

10:30 - 10:45
休憩
 


10:45 - 11:15
柏川伸成 (国立天文台)
PFSへの期待 [招待講演]
11:15 - 11:45
岡本崇  (北海道大学)
銀河形成シミュレーションの現状と PFS に期待すること [招待講演]
11:45 - 12:05
新納悠  (国立天文台)
すばるPFSで調べる z < 1 銀河の星質量-星生成率-金属量関係
12:05 - 12:25
石山智明 (千葉大学)
初代星は銀河系内のどこに生き残っているか?

昼休み (65分)

< session 4 銀河考古学関係 >


13:30 - 14:00
千葉柾司 (東北大学)
PFSが拓く近傍宇宙論の新展開 [招待講演]
14:00 - 14:20
岡本桜子 (上海天文台)
PFSによる近傍宇宙論
14:20 - 14:40
豊内大輔 (東北大学)
PFSで探る銀河系恒星成分の年齢ー金属量関係
14:40 - 15:00
市川幸史 (カブリIPMU)
PFSによる矮小楕円体銀河の暗黒物質密度分布推定
15:00 - 15:20
林航平  (カブリIPMU)
すばるPFSを用いた矮小銀河ダークハロー構造への制限

※ 2日目は国立天文台の談話会がある為、早めの終了となっています。


7月11日(土):

09:00 - 09:20
石垣美歩 (カブリIPMU)
可視光中分散分光データを用いた Chemical tagging による銀河系ハロー恒星ストリームの研究

< session 5 様々なサイエンス/他計画との協力 >


09:20 - 09:50
有本信雄 (国立天文台)
星と銀河の主系列 [招待講演]
09:50 - 10:10
岩田生  (国立天文台)
PFSの課題
10:10 - 10:30
議論
 

10:30 - 10:45
休憩
 

10:45 - 11:15
宮崎聡  (国立天文台)
Hyper Suprime-Camの開発から学んだこと [招待講演]
11:15 - 11:45
井上昭雄 (大阪産業大学)
Subaru/PFSによる周銀河媒質・銀河間媒質探査の展望 [招待講演]
11:45 - 12:15
成田憲保 (国立天文台)
系外惑星サーベイの副産物とPFSのシナジーの検討 [招待講演]

昼休み (75分)

13:30-14:00
本原顕太郎 (東京大学)
TAO/SWIMSとPFS [招待講演]
14:00-14:30
吉田道利  (広島大学)
PFSについて [招待講演]

14:30 - 15:00
総合議論
 


ポスター発表:

[1]
仁井田真奈 (愛媛大学)
高赤方偏移の低光度クェーサーの大規模探査に向けたクェーサー光度関数の再評価
[2]
本間英智  (東北大学)
色等級図と金属量分布から探る矮小銀河の化学進化
[3]
柏野大地 (名古屋大学)
The FMOS-COSMOS survey: Clustering analysis of star-forming galaxies at z~1.6
[4]
杉村和幸  (東北大学)
H2+の振動準位分布進化を考慮した始原ガス雲進化計算:超巨大ブラックホール種形成への影響
[5]
大木平   (文教大学)
準解析的銀河・AGN形成モデルによるAGNクラスタリングの進化
[6]
小宮悠   (東京大学)
銀河系外縁部に種族III星を探す
[7]
嶋川里澄   (総研大)
Unveiling the mechanisms of feeding and feedback in galaxy formation

Contact SOC/LOC

高田昌広(代表)、村山斉、田村直之、森谷友由希、矢部清人(カブリIPMU)
高遠徳尚、柏川伸成(国立天文台)、千葉柾司(東北大学)、長尾透(愛媛大学)


多くの方々のご参加いただき心より感謝申し上げます。