すばる主焦点超広視野多天体分光装置 (Prime Focus Spectrograph -- "PFS") は、東大カブリIPMUを中心に、国立天文台、カリフォルニア工科大学、NASA JPL、Princeton 大学、Johns Hopkins 大学、マルセイユ天体物理研究所(LAM), 台湾天文及天文物理研究所(ASIAA)、サンパウロ大学(USP)及びブラジル国立天文台(LNA)、マックスプランク宇宙物理学研究所(MPA)の国際協力により開発が推進されている、すばるの次世代共同利用装置の一つです。PFSは、2020 年代にもすばる望遠鏡が世界の第一線級の共同利用施設であり続ける上で戦略的にも大変重要な装置と位置づけられています。予算状況もかなり改善され、現在、装置開発は設計の最終段階から製作、組み上げへと移行する重要なフェーズを迎えています。
これと並行してサイエンス面でも、PFSで最大限ユニークな成果を挙げ様々な科学目標を達成するために必要な準備研究、サーベイ計画の検討を詳細に行っています。これらは国内外の研究者による強力な推進体制のもと行うことが不可欠ですが、PFS の国際共同計画としての性格上、PFS計画発足当時(2011年頃)を除きこれまでは海外で会議を開催することが多かったため、国内の研究者に対する PFS 計画の周知や計画への参加の呼びかけが十分でないのが現状です。そこで、PFS計画が重要なフェーズにあることを踏まえ、国内のより多くの天文学者にPFS 計画の議論に関与して貰い、ボトムアップ的にPFSで可能なサイエンスを議論する場を持つべく本研究会を開催します。会議では、PFS 計画の現状を紹介した上で招待講演、一般講演を頂き、可能なサイエンスの検討や、サーベイ計画、運用計画を洗練していく上で必要な検討課題の洗い出しと今後の対策、展望について、集中的に議論したいと思います。日本が中心になって進めているHyper Suprime-Camイメージングサーベイとの相乗的なサイエンスも検討・議論する予定です。
すばる望遠鏡の観測時間を長期にわたり大々的に投資するすばる戦略枠 PFS サーベイは、日本人研究者が中心になって海外の共同研究者と協力し、確実に成功させる必要があります。PFSによる戦略枠サーベイは2019年頃の開始を予定していますが、この研究会を契機に、今後より多くの国内の天文学者がPFSサーベイに参加し、計画を牽引していくことを期待します。参加希望の方は、下記フォームに必要事項を記入の上、指定メールアドレスにお申し込み下さい。大学院生、若手研究者の積極的な参加を期待します。
本研究会は「国立天文台国内研究集会」のサポートを受けています。
高田昌広(代表)、村山斉、田村直之、森谷友由希、矢部清人(カブリIPMU)
高遠徳尚、柏川伸成(国立天文台)、千葉柾司(東北大学)、長尾透(愛媛大学)
多くの方々のご参加いただき心より感謝申し上げます。